Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第19節 バルセロナ対レアル・ソシエダ

こんにちは。前節後半の得点で辛くもレバンテに勝利を収めたバルサは、1月に開催されるスーペルコパの前倒しで、レアル・ソシエダとミッドウィークに対戦します。

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ソシエダは今季13試合で7勝5分1敗、23得点6失点で現在暫定ながら首位。今、リーガで最も調子の良いチームです。昨季から主力は大きく変わっていませんし、攻撃的なサッカーを貫きながら、結果を残しているのは素晴らしいですね。昨季は1勝1分でバルサが勝ち越しましたが、特にアウェイでの一戦はボコボコにされて辛くも引き分けに持ち込みました。守備に不安を抱える現チームがソシエダとどこまでやれるか不安は募ります。

 

スタメン

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バルサはレバンテ戦から2人の先発変更。ラングレ、コウチーニョに代わり、若いミンゲサとペドリがチョイスされます。首位との一戦でミンゲサとアラウホのCBコンビを選択するクーマン、大胆です笑。レバンテ戦からあまりメンバーは変わっていないので、疲労は心配されるところです。 

対するソシエダは前節から6人の先発変更。恐らく前節はローテーション試合だったのでしょう。このバルサ戦に照準を合わせてきた感があります。チームの主軸であるオヤルサバルとシルバは残念ながら欠場。CFは若いイサクではなく、経験豊富なウィリアン・ジョゼがチョイスされます。

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

高いポゼッションを誇るチーム同士の対戦ということで、両チームともにビルドアップの手法、プレスのかけ方に注目が集まります。

バルサボール保持時 

バルサはレバンテ戦に引き続き、メッシを真ん中、グリーズマンを右、ブライスワイトを左に配置します。ペドリはトップ下の位置に置かれ、レバンテ戦と比較するとこの試合の基本の形は4-2-3-1だったと思います。

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バルサのビルドアップ

ソシエダは上図のようにしっかりとプレスをかけてきました。ボールを持ちたいチームなので当然と言えば当然。今季は引いて守るチームが多いので、なんかビルドアップ合戦は新鮮でした笑。

バルサビルドアップの要になったのはやはりテア・シュテーゲンソシエダは同数も辞さずプレスをかけてきたので、その分+1であるGKのディストリビューションは大きかったです。彼は中距離のパスを低弾道で正確に蹴れるスキルを持っているので、ソシエダのプレスを尻目にメッシやペドリにピンポイントでパスを出すことが出来るのです。

ソシエダからするとこれはたまったものではありません。ボールを奪いに行ってもテアのところで簡単に配給されてしまうので、高い位置でボールを奪うことができません。今日はバルサの方が若いアラウホとミンゲサのCBだったので、奪える勝算はあったのでしょうが、若い2人を補う見事なテア・シュテーゲンのプレーでした。

ソシエダはやっぱりスペースのある状態でメッシにボールを持たれるのは怖いんですよね。中盤化するメッシを入れるとバルサの中盤は4人、対するソシエダは3人で数的不利なわけです。中盤で負ければ勝機はないと思ったのか、アルグアシル監督は早めに手を打ちます。

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非保持時4-3-1-2への変更

右ウイングでスタートしたヤヌザイをトップ下、所謂ブスケツ番につけ、4-3-1-2に配置を変更したのです。ビルドアップの要所であるブスケツを消しながら枚数を増やして中盤で数的不利にならないような意図の采配でしょう。結果的にこの判断が仇となってしまいます。

4-3-1-2というフォーメーションで守る場合、配置上、当然相手のSBはフリーになりますよね。そしてバルサの左SBはフリーランニングの鬼、ジョルディ・アルバ。最近はアルバにちゃんと蓋をしてくるチームが多いので、微妙な試合が増えましたが、フリーなら止めるのが難しい選手です。そのアルバに誰もついて行かせなかったのがアルグアシルの一つのミスだったのではないでしょうか。

結果的にアルバは1ゴール1アシスト。逆転勝利の立役者となりましたソシエダは押し込まれるとスビメンディが1列下がる5バック気味の布陣で守っていましたが、それでも後ろから走ってくるアルバは止められません。前の3枚が前線に残ってしまう場面も多く、引いているんだけど人が足りないみたいな現象に陥ることがあって、その分バルサは快適に敵陣でプレーできました。

まあただミスと言っても判断が難しいところで、ヤヌザイを右のままにしておいてもアルバにはついていけなかった気はします。本来であれば馬力のあるポルトゥをアルバにぶつけるのが正解なのでしょうが、ヤヌザイの左サイドは恐らく微妙だったのでしょう。左のレギュラーであるオヤルサバルの欠場は痛かったですね。

バルサからすると、プレスをかけてくるかつリトリートの守備があまり強くないソシエダは比較的与しやすかったと言えるのかもしれません。ドン引きしてスペース消してくるチームの方が今のバルサは苦戦しそうな感じはあるので、そこは相性の問題はあるのだと思います。

レバンテ戦は中央密集になってしまったメッシ、グリーズマンブライスワイトの攻撃陣でしたが、前述のようにSBがフリーになって上がってこれた分、上手く左右中央使い分けられた印象はありますコウチーニョに比べるとペドリはボールを持ちすぎず、テンポよくプレーするので上手く循環するという作用もありそうですね。ペドリは間受けが上手い選手なので、メッシとの連携も上々。トップ下としてファーストチョイスにすべきです(断言)。

グリーズマンもスペースがある試合においては右サイドに置いてもある程度作用します。決定機を外しまくったので、印象は悪いと思いますが、裏を返せば右サイドからフィニッシャーとして崩しのメカニズムの組み込まれている事実は見逃せません。決めるだけなんですけどね。なぜ、右で使われた時は入らないのか・・・笑。

ブライスワイトは左ウイングでプレーできるだけのスキルと能力は残念ながら不足しているのですが、ボールを欲しがって下がってこない分、誰とも絶妙にプレーエリアが被らないという利点があります。クオリティ的に厳しい感じはするので、本来中央で使いたいんですけど、まあメッシをCFで使うなら難しいですよね。

そしてメッシはやはりスペースのある状態でプレーする方が輝きますね。ドン引きされてしまうと、全部やろうとしてしまうメッシですが、スペースがあるときは周りの選手と上手く作用することができます。今日はメッシに依存している感はなかったのでよかったと思います。尤も、それは相手によってまた変わるのでしょうけど。

バルサボール非保持時

この試合ではソシエダに負けずにバルサも積極的にプレスをかけに行きました。

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バルサプレス

陣形はソシエダと似ています。システムが噛み合っているので、そのまま人につくイメージです。この試合のバルサは特に人に対する意識が強く、マンツーマン気味の守備になっていることが多かったです。

特に前半の出来は素晴らしく、ソシエダのポゼッションを34%、シュートを3本に抑えましたソシエダはそれほど早いテンポで来ないチームなので、上手く人を掴まえてビルドアップを機能不全に陥らせることに成功しました。ソシエダが配置重視なこともあってこちらの陣形が大きく乱されることなく、対応できたのは大きかったですね。

このプレスの鍵になるのが2列目の働きとCB。この試合の2列目は現チームで守備で最も計算できるグリーズマンとペドリ、そして献身的な働きを見せるブライスワイトが入ったことで良い感じにメッシの分の守備負担を担保。そして後方の広大なスペースをカバーするのは爆速CBのアラウホと前からのプレスに適したメンバーだったのです。

相手GKのレミーロも足元の技術に優れ、配給能力は高いのですが、アラウホにしてもミンゲサにしてもレミーロから配給されるボールを上手く前で潰す、最低でもファウルで止めるの基本動作ができていました。現チームのレギュラーはピケとラングレですが、彼らには違った良さがあります。

クーマンは就任当初、このソシエダ戦のようなプレスを志向していましたが、クラシコくらいからあまりやらなくなりました。その理由の一つがCBの能力とタイプによるものなのかもしれません。ピケ・ラングレコンビだとどうしても広いエリアをカバーしきれませんから。そういう意味でアラウホの存在は本当に大きかったと思います。彼の存在がこのプレスを可能にしたとも言えます。

そしてもう1人の重要人物がペドリ。本当に末恐ろしい選手です。ここ数試合のレビューでダブルボランチが前に出過ぎてCB前のスペースがぽっかり空いてしまう問題について書きましたが、ペドリが凄まじいのはこのスペースをサラっと下がって埋めてしまえるところ

ポストに激突しながら決定機を阻止したあのシーンに代表されるようにスペースに対する危機察知能力が18歳のそれではありません。それは今夏のPSM初戦からそうなので、多分彼が備えている才能の一つなのでしょう。技術も高いですが、やはりインテリジェンスの部分で彼はプライスレスです。そして闘う気持ちもあります。トップ下としてファーストチョイスにすべきです(2回目)。

ただ、恐らくこの戦い方はこのメンバーでないとできそうにありません。アラウホと2列目の守備力は絶対に必要です。グリーズマンとペドリは途中で交代しましたが、その後に入った選手たちはやはり守備面で劣ることが確認できました。後半の終盤は疲労もあってかなり押し込まれましたからね。特にトリンコンはまだ厳しいです。

となると、今後ローテーションが難しくなってくる感じはします。今日の前半の出来にはクーマンもチームも手ごたえを得ていると思いますが、他の選手を使った時に同じことができるかと言われればNO。ここから過密日程が続きますが、あまりローテーションをしない可能性もあります。主力が死んでしまいそうですが・・・。

 

試合雑感

よく勝った!という気持ちで一杯です。チーム状態が悪い中で首位のチームに勝てたことは大きいと思います。今季初の逆転勝ちですし。メッシを中心にこの試合は選手たちの勝ちたいって気持ちも見えました。少しでもここからチーム内の雰囲気が上がっていくといいのですが。

MOMは文句なしでペドリ、次点でアラウホです。この2人が間違いなく今日のバルサを引っ張りました。若い2人がチームを引っ張る。昨季までは見られなかった光景です。チームはいい状態ではありませんが、悪いことばかりではありません。ミンゲサやデストも含めて若い選手が頑張ってくれているのは嬉しいですね。

奮起しなければならないのがラングレ。首位との一戦でスタメンから外されたことは重く受け止めなければなりません。今季失点に繋がるエラーが多いだけに、今日のアラウホとミンゲサのプレーに何か感じてくれればいいですね。

それからピャニッチの序列があまりに低いのが気になりますね。今日も先発から外れ、出てきたのはアレニャの後。恐らくクーマンはあまり信頼していないんでしょうね。本人も不満を漏らしていましたし。そして、リキに関してはもう使う気はないという強烈なメッセージな気がします。残念ですが、キャリアのために1月にレンタルを選ぶのが吉ではないでしょうか。

さて、リーグ戦で連勝を飾ったバルサは次節バレンシアをホームに迎えます。バルサよりやばいフロントを抱え、主力を大量放出したチームですが、今季は3勝5分5敗で12位。3勝の内訳はレバンテ、ソシエダ、マドリ―と強いんだか弱いんだかよく分からないチームです笑。

ちょっと怖さはあるんですけど、例年のバレンシアと比べれば戦力は劣ります。しっかり勝ち切って今季初のリーガ3連勝を飾りたいところです。

いい勝利でした!

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。