Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第12節 カディス対バルセロナ

こんにちは。アトレティコ戦の敗戦から3連勝と持ち直した感もあるバルセロナは今節カディスとのアウェイゲームに臨みます。ミッドウィークのフェレンツヴァーロシュ戦ではローテーションを行い、主力の何人かは休めた状態でこの1戦に挑むことができます。

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カディスは昇格組ながら今季4勝3分4敗と健闘を見せており、内5試合でクリーンシート達成と守備に定評のあるチームです。守備ブロックの堅いチームに中々今季のバルサは勝てていませんから、厳しいアウェイゲームになることが予想されます。

 

スタメン

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ホームのカディスは前節エルチェ戦から2人のメンバーチェンジ。10番のペレアと中盤のボディゲールが先発で起用されました。カディスは主力のマリ、サルビが欠場中。そしてここまで2ゴール3アシストを記録しているエースのネグレドはベンチからのスタートです。

一方のバルサはメッシ、コウチーニョがスタメンに戻ってきました。最近の試合で結果を残しているブライスワイトは4試合連続の先発出場。アラウホが長い離脱から招集メンバーに戻ってきましたが、即スタメン復帰とはならず。CBには引き続きBチームのミンゲサが起用されます。

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

カディスの堅い守備

大方の予想通り試合はバルサがボールを保持し、カディスがブロックを作って待ち構える展開になりました。

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バルサボール保持時

普段は4-4-2が基本フォーメーションのカディスですが、バルサ対策としてこの試合では4-5-1の陣形で臨みました。バルサはここ数試合、「9番」ブライスワイトへの楔のパス、ライン間でボールを受けるグリーズマンを中心とした中央突破が機能しているだけに、中盤中央の人を増やして中央へのパスの供給を食い止める狙いでしょうか。

全体的な重心を下げることで、ライン間のスペースを圧縮。ポゼッションは完全に相手に渡す代わりに、危ないスペースを潰すことにチーム全体で徹しています。特にバルサはライン間で活きる選手が多いチームではあるので、非常に有効な守備戦術であると言えるでしょう。

同じく守備の堅いチームであるトレティコと似ているなと思ったのは4バックの位置取りで、基本的にペナルティーエリアの幅で守ることが原則になっていること。4バックの選手が必要以上にサイドに釣りだされないことは守備の堅いチームの必要条件になってますね。

それを可能にするのがサイドハーフの守備。カディスサイドハーフの守備が素晴らしいのが特徴です。中央を閉じながら大外をケアするポジショニングのバランス感覚と、大外もケアする運動量。時には外側へのパスコースを切りながら、中央の選手にプレッシャーをかける柔軟性を見せました。さらにはカウンターでドリブル突破も披露するなど、両サイドハーフのバイタリティは尋常ではありませんでした。

左サイドのペレアなんかは今季初先発だったのですが、問題なくプレーできていましたね。監督がどのようなトレーニングをしているのか気になりますね笑。圧倒的な個がいるチームではありませんが、戦術的な浸透度が高いチームです。

基本的にチーム全体でプレスをかけることはないのですが、CFの選手も精力的にプレスバック、カバーシャドウで守備に貢献します。また引いて守ることが原則とはいえ、中盤中央の3人は積極的にインターセプトを狙い、隙あらばカウンターに移行する姿勢が見られました。

バルサの攻撃が詰まった理由

クーマンバルサが最も苦手なタイプの相手との対戦となったわけですが、攻撃が詰まってしまう理由はどこにあるのでしょうか。

先述した通り、カディスの守備の方針はライン間のスペースを潰して中央を閉じること。そのため、ブライスワイトへの楔のパスが中々入らず、グリーズマンコウチーニョ、メッシがライン間でボールを受けられるシーンが多くありませんでした。それでも強引にこじ開けることもあったのですが、まあ率は高くありません。

であるなら当然サイドから突破口を見出したいところです。しかし、こちらもサイドハーフがサボらず守備に参加するため、必ず2人で両サイドを守るように設計されています。

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サイド攻撃が詰まる理由

右サイドに関してはメッシが中央下がり目でプレーする機会が多かったため、デストが単騎での突破を強いられる傾向が強いです。たまにグリーズマンが流れてくることもありますが、数的優位を作って連携で崩すシーンは少なかったです。個人的にはもう少しデストと絡む選手が増えれば彼の突破力も活きてくると思うのですが。

左サイドに関してはコウチーニョとアルバのプレーの幅の狭さが気になりました。アルバは大外でランニング、コウチーニョはハーフスペースで足元でボールを受ける。役割がハッキリしすぎていて相手が対応しやすいんですよね。コウチーニョは大外、アルバが内側に立つとそれぞれの良さが消えてしまうので何だかなあといった感じです。

デンベレが投入された後半は改善されることを期待しましたが、アルバが結局大外を回るので結局デンベレもハーフスペースに入ってしまう時間が長くなり、良さが消えました。今日の様にアルバが活きない試合では内側でプレーすることもできるジュニオルを起用したいところなんですが、いかんせんパフォーマンスが悪いので使えないのが悩ましいところです。

例えば前節のオサスナ戦のように5-3-2のフォーメーションでサイドプレーヤーが1人の相手と戦う時はある程度即興や単独突破で解決することも可能ですが、カディスアトレティコのようにがっつり2枚体制でサイドを固めてくるチームにもう一工夫しないと崩すことはできませんね。

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結局ブロック前で攻撃のスピードが落ちる→横パスを回す→ペナルティーエリアへのフライスルーパスの繰り返しになってしまうのがちょっと残念でした。攻撃のバリエーションとして、ミドルシュートアーリークロスもありませんでしたし、チームとしての引き出しの無さがまたしても垣間見えた試合でしたね。

ただ、本当に手詰まりだったアトレティコ戦に比べるとだいぶ改善はされたと思うので、少しずつ前進していくしかありませんね。

看過できない配置の問題

僕は試合前日こんなツイートをしました。

最近の試合ではメッシを右サイドで起用しているバルサですが、それは配置にこのような問題点を齎します。

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バルサボール保持時の配置の弱点

デストが高い位置を取り、ダブルボランチが左寄りに立つことが多いので必然的にミンゲサの前の赤でマークしたスペースがぽっかり空いてしまうのが一つの課題です。

カディスは結構ここを突いてきて、CFのヒメネスはチームがボールを奪うと殆どこのミンゲサの前のスペースに流れてボールを受けていました。これは明らかにバルサの弱点の部分を狙ったものだったと思います。そこでファウルをもらったり、時間を作るシーンは目立ちました。

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弱点を突いたカディス

先制点を食らったコーナーキックも手薄になった右サイドを突かれて与えたものですし、ここは相手チームにとって非常に分かりやすい弱点となっています。右ボランチブスケツはこの広大なスペースをカバーできるほどのスピードはありません。右CBを務めたミンゲサは大変なタスクを負いましたね。

ということで現状はこの歪な配置に耐えられるようなスカッドではないということです。もちろんメッシを右サイドに置くことが攻撃力が増すこともありますが、個人的には守備面のマイナスと天秤にかけたときにどうなんだろうと思ってしまいます。

今日の試合に関してもう少し言えば、メッシをもう少しサイドに立たせてデストと連携させる、もしくは早い段階でグリーズマンを下げてメッシのポジションを真ん中に移し、サイドの枚数を増やすというのはやっても良かったのかなと思います。例えば右デンベレ、左コンラッドとかにすれば。と思ったらコンラッドベンチ入りしてませんでした笑

やっぱり基本、メッシってアタッカー気質なのでどうしてもロストが多くなっちゃうんですよね。この試合は流石に多すぎない?ってくらい横パスのミスが多くて。で、横パスのミスはカウンターに繋がりやすくなってしまうので、ますますこの配置の粗が目立ちやすくなってしまいます。今日はメッシのロストからカウンターを食らうシーンが特に目立ちました。

じゃあメッシってどう使えばいいの?ってなった時に今のクーマンの4-2-3-1では完璧にフィットするポジションがないのかもしれません。CFに置くと下がり過ぎてしまいますし、2列目では守備の穴になってしまいます。メッシの使い方に関して言えば、エンリケバルベルデのやり方がベターだったと思います。

クーマンの交代策

今日もよく分かりませんでした。

 

試合雑感

まず言いたいのはカディス、本当に素晴らしいチームです。先述したように守備時の約束事がはっきりしていて、非常にソリッドでした。それでもバルサも得点に迫ったシーンは何度かありましたが、最後まで身体を張ってのシュートブロックをやめませんでした。GKのセーブも含めて本当に素晴らしかったと思います。今季これでマドリ―とバルサに勝利ですから素晴らしいですね。今季の2強がアレなのは差し引いても予算の差を考えればすごいことです。

バルサも同点に追い付いたところまでは良かったのですが、あの致命的なミスが痛手でした。いい流れが終わってしまいましたからね。あのミスは起こってはならないと思います。テアやラングレの対応を非難する声もあると思いますが、個人的には自陣深くであのスローインはないですね。

これでバルサはシーズン4敗目。「悪いなりに勝つ」ということができないチームになってしまいました。「勝ったけど内容はゴミ」ではなく「内容が悪いと試合に勝てない」という。リーガでも勝負弱くなりました。泥臭さが足りませんね。カディスから学ぶことは大いにあると思います。

この敗戦で首位アトレティコとの勝ち点差は12に開きました。まだシーズンは3分の1も経過していませんが、早くも大差をつけられてしまいました。現時点でタイトルのことを考えることはできません。一歩ずつ地に足をつけて少しでも多くの勝ち点を拾うしかありません。

さて、次はミッドウィークにユベントスとの対戦です。グループリーグ突破は決まっていますが、首位通過できるかどうか決まる大事な一戦になります。CLでの5連勝が今季唯一誇れる結果なので、折角なら6連勝達成して欲しいですね。

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