はい、こんにちは!優勝争い中のバルサは、今節オサスナとカンプ・ノウで対戦します。今節同時刻に開催されるビジャレアルとの試合でマドリ―が勝利を収めれば、バルサの結果に関わらず、マドリ―の優勝が決まってしまう状況です。バルサとしてはひとまず目の前の試合に集中したいところですね。
オサスナはここまで勝ち点48の11位。昇格組ながら、早い段階で残留を決めています。前回対戦は3節。かなり苦しめられました。先制され、一度は逆転に成功したものの、終盤に同点に追い付かれたゲームでした。果たして今節は勝利を収めることができるでしょうか。
■スタメン
後がないバルサはスタメンを前節から4人変更。スアレス、アルバ、ビダルがベンチスタートとなり、グリーズマンは負傷離脱。代わりにブライスワイト、ジュニオル、ラキティッチ、アンスがチョイスされます。4-3-3っぽいメンバ―ですね。
それに対して、オサスナは今節5バックを採用。がっつりバルサ対策って感じですかね。前節劇的な決勝ゴールを決めた元バルサのアルナイスは2トップの一角に入るようです。中心選手の1人であるロベルト・トーレスはベンチスタートになりました。長期離脱中のチミー・アビラはまだベンチに戻ってこれません。
■前半
オサスナの守備に苦しむ
さて、この試合も例によってバルサがボールを持ち、ブロックを敷いてカウンターの機会を窺う相手チームという展開になりました。オサスナの今日のボール非保持時の形は5-3-2。がっつりバルサ対策って感じですね。
噛み合わせはこんな感じになります。まずCBにはプレスにほとんどいかないオサスナ守備陣。CF2枚はアンカー(ラキティッチ)の位置まで下がって守備をします。そのため、中盤3枚は殆どラキティッチにプレスをかけず、3枚のラインを維持したまま、バルサのインテリオール及び中盤化するメッシに対応するイメージです。
中盤の選手が安易にポジションを空けず、バルサが攻略したい中央のスペースを閉じ続けたのは効果てきめんでしたね。5-3ブロックはよほどのことがない限り、維持されていました。当然5-3の穴は「3」の両脇になってくるわけですが、そこでボールを受ける回数が多かったのは内寄りにポジションを取ったジュニオル。彼が崩しの端緒となるのは難しかったですね。
バルサとしてはアンス、セメドとスピード豊かな2人をサイドに配しているだけにそこを突破口にしたいところでしたが、グラナダの両WBは上手く対応していました。中央は堅く、サイドもダメ。またしても相手ブロックの前で延々とパスを回し続けるポゼッションゲームが今節も幕を開けたのです。
やっぱり甘い非保持の設計
セティエンバルサの一番の特徴は、高いボール保持率です。ボールを持って相手を自陣に押し込むというのはセティエンが力を入れている部分ですね。しかし、その一方でやはり甘いのはボールを持っていない時の設計。セティエンからすると高いボール支配率でその弱点を覆い隠しておきたいのでしょうが、それで乗り切れるほどリーガは甘くありません。
回数こそ本当に少なかったものの、オサスナのボール保持時はこんな感じに。
バルサはボール非保持時、メッシ、ブライスワイトが前線に残り、リキが前に出る4-3-1-2に近い形を取ります。その結果何が起こるかと言えば、左WBのエストゥピニャンをマークする選手が誰もいないのです。中盤は3枚(しかもそのうち1人はアンス!)なのでセルジ・ロベルトは迂闊にエストゥピニャンにプレッシャーをかけるわけにはいきません。
エストゥピニャンと言えば、今季のリーガで最も危険な攻撃性能を持った左SBです。そんな彼を敢えて放置したとも思えません。この辺の設計が激甘なんですよね、セティエン。試合開始からここは不安だったんですが、案の定、バルサの右サイドでアドリアンがサイドに流れて数的有利を作られ、エストゥピニャンのクロスから先制点を献上しました。
オサスナの攻撃は見事でしたが、ある意味必然の失点だったと思います。偶然でも何でもなく問題点を巧みに突かれた格好ですからね。
セティエンバルサは殆どの試合で70%弱のポゼッションを記録している。ここがセティエンの自慢なんだろうけど、その一方で残りの30%を疎かにしすぎている。今日の試合は今季のリーガで最も危険な左SBの1人であるエストゥピニャンを放置。保持率が高いから攻められる「回数」が少ないだけで必然の失点。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年7月16日
僕ならボール非保持は、ブライスワイトを右に置いてエストゥピニャンのケアをさせたと思います。
以前の記事でも書きましたが、リキを使う際は4-4-1-1、もしくは4-1-4-1で守るのはベターでしょう。今日はスアレスがベンチスタートだったので、いつもと違うことができたはず。何もスアレスと同じことをさせる必要はないのです。
そもそもこのような試合展開でブライスワイトは中央で活きるタイプではありません。今日は攻守両面の観点から、サイドをスタートポジションにしても良かったのではないでしょうか。現代サッカーではどのようなチームもボール非保持の設計を疎かにしてはなりません。
前半はこのまま0-1で終了。オサスナがリードを持って後半へ突入します。
■後半
メッシ頼みの
後半開始からバルサの交代はなし。オサスナは前半終了間際に負傷したブラシャナツを下げて、オーイエルを投入します。システムの変更はありません。
優勝戦線に踏みとどまりたいバルサはさらにポゼッションを上げ(後半のボール保持率はなんと80%!)、ゴールに迫ります。
メッシは前半よりもサイドでのプレーを増やし、そこからのスルーパスやドリブルで打開を図ります。やはり中央は堅く、先述したように数的優位もできにくいので、比較的スペースのあるサイドからの崩していくしかないという判断でしょう。
しかし、いつもながらですが、これでは得点の可能性が一番高いメッシがゴールから遠ざかってしまうことにもなるわけです。そして中央の堅いオサスナから得点を奪うには、ピンポイントのパスとジャストなタイミングでの動き出しが必要になってきます。ブライスワイトとアンスはスペースがない状況で苦しんでいましたし、ジュニオルとメッシの呼吸は合っていません。ゴールはまだ遠いままです。
こういう時にメッシに頼るしかないのがもどかしいところです。それに頼るべきメッシにとっても今のバルサはプレーしやすい環境ではないのでなかなか難しいところですね。本来もっとゴールに近いところでプレーさせたいのですが。なんでもかんでもメッシがやらねばならない状況はもどかしいです。
力技、退場、逆襲、終戦
何としても得点が欲しいセティエンは59分にスアレスとビダルを同時投入。力技でこじ開けにかかります。それが実ったのは3分後。スアレスがオーバーなリアクションでペナルティーエリア前でファウルをもらうと、このFKをメッシが沈め、同点に追い付きます。メッシのFK弾はいつ以来でしょうか。この試合4本目だったので流石にフィーリングが合ってましたね。
その後はお馴染みのメッシ→スアレスラインで得点を狙うバルサ。スアレスとビダルの投入、同点弾でエネルギーを取り戻したような感じはありました。さらに77分には途中出場のオサスナのFW、ガジェゴが肘打ちで一発退場。これ以上ない追い風がバルサに吹きます。
しかし、問題の根幹が解決したわけではないので、しっかりと攻めあぐねていきます。オサスナは10人になっても諦めずに食らいついてきました。とっくに目標の残留は決まっているのに、素晴らしいチームですね。必死に中央を固めてバルサに決定機を許しません。
そして、迎えたアディショナルタイム。ブスケツの中途半端な対応がオサスナのカウンターに繋がり最後は途中出場のロベルト・トーレスが決め、勝ち越し。歓喜に沸くオサスナの選手たちと、ホームカンプ・ノウで死刑判決を受けたバルサ。試合はこのまま終了。バルサは今季初のカンプ・ノウでの敗北でリーガのタイトルを逃す結果になりました。
■まとめ
まずはオサスナに称賛の言葉を送らなければなりません。素晴らしい戦いぶりでした。今日は本当に完敗でしたね。今季バルサに対して1勝1分。昇格組とは思えないほどいいチームでした。来季が楽しみなチームの1つです。
そしてレアル・マドリーは優勝おめでとうございます。認めるのは悔しいですが、今季優勝に相応しかったのはバルサではなくマドリーだったと思います。クラシコでは負け越しましたし、何より再開後全勝はちょっと想定していませんでした。ジダンは凄いですね。
優勝を逃したも残念ですし、何よりこの試合のパフォーマンスが残念でした。試合を通して79%のボール保持率を誇りながら、SofaScoreのデータでは、枠内シュートは僅か2本。セティエンバルサを象徴しているようなデータですね。少なくとも現状では「意味のないポゼッション」と形容されても文句は言えません。
今季の総括に関してはまた別途記事を出すので、そちらでがっつり語りたいと思います。そして、まだCLが残っています。選手たちも悔しいでしょうが、少しでも早く切り替えて良い準備をして欲しいですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。