Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】リオネル・メッシは本当に衰えたのか? データ比較から検証する

こんにちは!さて、先日アトレティコ・マドリ―との決戦に引き分けたバルセロナ。一方のマドリーはヘタフェにきっちり勝ち切り、両者の勝ち点差は4に広がりました。これはなかなか厳しいですね。可能性がある限り諦めず戦って欲しいところではあるのですが。

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この結果を受けて、バルセロナの周囲には批判が渦巻いています。その中の懸念事項の1つがチームの大エースリオネル・メッシについてです。今季のリーグ戦で22得点に留まり、メッシは衰えたのでは・・という限界説すら囁かれています。ということで今回はメッシは本当に衰えたのか徹底的に検証していきたいと思います。

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データは『FBREF』、『WhoScored』より引用しています。今回はリーグ戦のデータのみ扱っています。尚、やむを得ず自分で計算せざるを得ないデータもあったので、数字に多少の誤差があるかもしれません。ご了承いただいた上で、読んで頂けたら幸いです。

 

■データで今回も比較していく

はい、まずは分かりやすいデータから見ていきます。データが色々残っているのが17-18からなのでそこからの比較していきましょうか。

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ここ3シーズンのゴール・アシスト数(90分あたり)

図に入れ忘れましたが、青がゴール数、オレンジがアシスト数です!すみません、修正するのが面倒で笑

ゴール数は今季90分あたり1得点を下回るなど「らしくない」数字に留まっています。1試合あたり0.8点でも相当エグいですけどね笑。昨季のゴール数が異次元でした。その代わり、アシスト数は右肩上がり。年々チャンスメイカーとしての顔も覗かせています。確かに今季のゴール数のスタッツは物足りないものの、この数字だけで衰えたと断定するのは早計でしょう。

ということでゴール数に関連するシュートに関するスタッツも紹介しておきましょう。

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シュート数とシュート1本あたりのゴール数(90分あたり)

ご覧の通り、シュート数自体が減少傾向にありますね。ただ、前年と比べてゴール数もシュート数も下がっているので、シュート1本あたりのゴール数はそれほど大きな差はないようです。シュート数のスタッツが下がっているのは、彼の問題なのか、それともチームの問題なのかはちょっとこれだけでは判断しかねるところですね。

ということでもう少し攻撃面のスタッツを見ていきましょうか。

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ドリブル総数と成功数(90分あたり)

ドリブル総数、成功数ともに今季がこの3年間でトップですね。試行回数、成功数いずれも前年に比べて1回以上多くなってるのはすごいですね。フィジカル的に明らかに衰えている選手ならドリブル数がここまで増えないような気がしてきました。ただ、ドリブルが増えているのをどう解釈するのかも難しいところ。

もしかするとドリブルの負担が上がった分、つまり、組み立て・崩しの局面でエネルギーを使わなければならなくなった分、フィニッシュの局面で力を発揮できなくなったのでは?という仮説を立てることもできます。ドリブル数の向上が意味するところは、メッシのパフォーマンスの向上ではなく、負担の増大なのではないかと。

もう少しそれっぽいデータを見てみましょう。

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アタッキングサードでのボールタッチ(割合)

今度は全ボールタッチに対する、アタッキングサード(ピッチを3分割した時の一番前のエリア)でのボールタッチの割合のデータです。17-18、18-19の2シーズンは61%を記録しているのに対して、今季は5%減の56%に留まっています。つまり、前2シーズンに比べると中盤のラインまで下がってボールを受ける回数が多くなっていると推測することができますね。

前線でフィニッシュ役を担うよりも、下がって組み立てに深く関わるシーンが多くなったとすれば、ゴール数の減少・アシスト数の増加にも納得がいきます。今季のスタッツの減退は本人の衰えよりもチームでの役割が微妙に変化したことによるものなのかもしれません。

 

■変化はセティエン就任後から?

とはいっても今季は半分バルベルデ、半分セティエンが監督を務めたシーズンでもあったので、そこの比較もしなければなりませんね。途中で監督が変わるといちいち計算し直さなければならないのでとても面倒です。誰かは知りませんがシーズン途中に監督変えた方をビンタしたい気分です、はい。

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バルベルデ・セティエンの比較を入れた状態でもう一度

やはりと言うべきか、バルベルデ時代のゴール・アシストの感じは前2シーズンと傾向は変わりませんね。まあやり方が変わらないので、当たり前ですが。傾向がハッキリ変わったのはやはりセティエン就任以降です。つまり、セティエンが監督になってからメッシにかかる負担が多くなったと、そう解釈していいのかなと思います。

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今度は枠内シュート数も

と思ったらセティエンになってからのほうがシュート数は多くなってるんですよね。てか今季のバルベルデ時代少なくね?と思って枠内シュート調べてみたら、バルベルデ時代はオンターゲット率が異常なだけでした笑。枠内シュートの数自体はバルベルデ時代もセティエン時代も変わりません。2本に1本は枠に飛ばしているわけです。つまりバルベルデ時代は無駄撃ちが少なく、セティエン時代はシュート数自体は多いけど枠を捉える率は低いと。

もう大体想像はついているでしょうけど、一応ドリブルも載せておきましょうか笑。

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一応ドリブル数も

成功数に差はないものの、やはりセティエンになってから試行数がグンと増えています。無駄なドリブルが増えたとは言わないまでも、試行数が増えた分だけ、ドリブル失敗数が増えているわけですからどうなんだろうという話ではありますね。

セティエンになってから、シュートにしてもドリブルにしても試行回数は増えましたが、枠内・成功回数はほとんど変わらないので結果としてゴールに結びつかないエネルギーを消費してしまっているのかもしれませんね。プレーに無駄が多くなっていると言わざるを得なのでしょうか。

 

■少なくともデータ上では

さて、それではここまでのデータをまとめておきましょうか。

・過去2シーズンに比べるとゴール数減少・アシスト数増加

・スタッツの傾向が大きく変わったのはセティエン就任以後

・ドリブル数の増加・組み立てにより参加するように?

・枠内シュート率の低さが気になる

・無駄が多くなった?

ここまでのトピックとしてはこんなところでしょうか。色々データを紹介したので、混乱しましたよね、すみません笑。

さあ、ここから文字ばっかりの考察です。僕は昨季のメッシの記事でこんなことを書きました。

今のメッシはできるだけエネルギーを抑えながら、ここぞという場面で最大出力が出せるようにかなり気を遣っているように見受けられます。何でもかんでも自分がというスタンスではなく、チームが自分の元にボールを運んでくることを信じ、自らの強みを最大限に生かすプレイを意識しています。

バルベルデの元では、前線に留まりラスト30メートルでのプレーに集中していました。守備を免除され、カウンターの機会が多かったバルベルデ時代ではその能力を遺憾なく発揮できたわけです。30歳を越えてもあれほどまでに数字を残せるのはこのスタンスのマイナーチェンジがあったからだと僕は思っています。

19-20の前半戦のスタッツは、6回目のバロンドールを獲得するに至った18-19シーズンのそれとそれほど変化ありません。なので、スタッツ面で衰えていると断定するのはちょっと危険ですかね。できるだけエネルギーを温存した上で、本人が好むスペースが多分にあるカウンターの局面が多く訪れれば、メッシは33歳の今でももう一度バロンドールを奪えるレベルにあると僕は思います。

しかし、セティエンが就任して以来、カウンターの頻度が減り、様々なタスクが増えたました。ポゼッションスタイルへの回帰により、メッシは整った中盤とDFの2ラインを突破しなければいけないこともしばしば。守備の局面にも以前より精力的に参加するようになりました。ルイス・スアレスが離脱中、本来であればメッシがその分も得点を奪わなければなかったのですが、それが叶わなかったのは多分こういう事情です。

タスクが多く、ゴール前にたどり着いた時はエネルギーを使い切り、最後の踏ん張りがきかず、今までは入っていたはずのシュートが枠を捉えないシーンは散見されます。メッシ基準ですけど、え?それ外す?みたいなシーンは多くなりましたね。その代わりにアシスト数を増やしちゃうのが彼の凄いところではあるんですけどね笑。

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少なくともここまでのスタッツを見る限り、メッシが衰えたというよりも、チームスタイルの変更の煽りを受けて衰えているように「見える」の方が正解に近いのかなと思います。別にここでセティエンが就任してからメッシがダメになった!と言うつもりはありません。ですが、メッシのタスク過多は考えるべき問題ですね。

 

■だからこそ考えるべきは

じゃあメッシは衰えてないの?と聞かれたら、答えはNOです。数字上では衰えていませんでしたが、やはり試合を観ているとうーんと感じる部分はありますよね。これはセティエンになってからではなく、大活躍を見せた昨シーズンから顕著になったことです。時折メッシがメッシでなくなる瞬間が訪れるのです。

メッシは今でも世界一だと思いますが、33歳という年齢を考えると「無理が利かなくなってきている」のは間違いありません。最早何でもかんでも背負わせるのはダメです。メッシにメッシのままでいてもらうためには彼が得意なことに専念できる環境を整える必要があるのです。これはチームにとってはデメリットを被るものではあるのですが、そのリスクを背負うかどうかは監督次第。

よく他サポの方に「この活躍で衰えてるって贅沢すぎる・・・」的なことを言われます。そう仰る気持ちはよく分かりますし、実際贅沢なのだと思います。しかし、バルサチームがリオネル・メッシという才能を活かしきるためにどれほどの犠牲を払っているのかを考えれば、メッシにスタッツを下げさせる余地はないのです。

そして、今のセティエンバルサはそこが中途半端ではあります。メッシのメリットを最大化できてもいませんし、デメリットとチームの負担を軽減することができていません。途中就任で仕方ない部分はありますが、このメッシ問題を早急に解決できなければ、セティエンに良い未来は訪れないでしょう。バルサフロント陣の気は長くないですから。自分のスタイルを貫くか、割り切るか。2つに1つです。

また、ここ最近、メッシがストレスを溜めている場面をよく見かけます。珍しく試合中に怒りを露わにするシーンすらありますよね。もちろん、アルトゥールの移籍騒動などのフロントのいい加減さに腹を立てているというのもあるのでしょうが、ピッチ上で以前ほど気持ちよくプレーできていないのも影響しているのかなと思います。

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先日出た退団報道などはまだ現実味が薄いでしょうが、早急に解決しなければ、溝は深まるばかりです。メッシと喧嘩別れなんてしたら最悪です。いつか彼はいなくなることは理解していますが、最良の形でクラブを去らなければならない選手のはずです。解決策が早めに出されることを願います。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。