はい、それではセビージャ戦観ていきましょう。
ホームのセビージャは普段の3バックから一転、サラビアをトップ下に置いた4-2-3-1でバルサに挑みます。前回対戦のコパセカンドレグで1-6の大敗を受けてのパブロ・マチン監督の修正かと思われます。冬加入のウェーバーとログもスタメンに名を連ねます。バルサから加入したムニルはベンチスタートになります。残念・・・
一方、アウェイのバルセロナはいつも通りの4-3-3。トピックとしては昨年11月のアトレティコ戦以来の公式戦となるユムティティの復帰ですね。今シーズン負傷の影響でほとんど戦力になれていない彼の復帰はこれからの戦いに向けて非常に大きいですね。デンベレではなくコウチーニョを起用した左ウイング以外は現状のベストメンバーと呼べる顔ぶれではないでしょうか。
【前半】
さて、前半です。ここ数試合の流れを引きずるかのように試合内容の悪いバルセロナ。イージーなパスミスやボールロストを繰り返せばそりゃあ流れ悪くなるわ状態。一方のセビージャは普段のようなシステマティックにハメに行くのではなく、4-4ブロックを形成し、ゾーンをしっかりと埋める守備を披露します。今のバルサはじっくり攻めることができていないため、セビージャの守備網に引っかかりまくってカウンターの脅威に晒されます。22分、高い位置でメッシがボールを受けると、走りこんだコウチーニョにスルーパスを通そうとしますが、これをプロメスがカット。プロメスはすぐさま前線のベンイェデルにパスを送り、ロングカウンターがスタートします。ベンイェデルは斜めにドリブルをしてユムティティを引き付けると猛スピードで右サイドを駆け上がってきたヘススナバスにパスを出します。これをナバスが左サイドに落ち着いて決めてセビージャが先制します。バルサにとっては非常に痛い失点です。その後も何かチグハグなまま攻めあぐねますが、あの男が空気を一変させます。ラキティッチが左サイドでフリーでボールを受けるとそのまま左足でクロス。このクロスにメッシがジャンピングボレー!エースの見事な一撃でバルサが試合を振り出しに戻します。しかしその同点弾をもってしてもバルサのプレーを好転させるには至らず。ボールポゼッションが上手くいかずに苦戦していると、42分、テアシュテーゲンのキックが短くなったところをカットされると、サラビアが右サイドに走りこみます。ここでバルサの選手たちはオフサイド(もしくはゴールキック)とセルフジャッジをしてしまい、プレーを止めます。しかし諦めずに走ったサラビアがボールに追いつくと、中で待っていたメルカドが左に流し込み、再びセビージャがリードを奪います。バルサとしては良くない失点ですね。前半はこのまま2-1のセビージャリードで終わります。
◎ポイントになったトップ下、サラビア
さて、冒頭でも述べた通り、今日のセビージャはフォーメーションを変えてきました。4-2-3-1。恐らくバルサ対策でもあり、ここ数試合調子の上がらないチームに対するカンフル剤の意味もあったかと思います。個人的に前半のポイントとしてサラビアを挙げたいと思います。パブロ・サラビア、26歳。レアルマドリ―ドのカンテラ出身でもある彼は、技術と運動量を兼ね備えた左利きの技巧派ミッドフィルダーであり、セビージャの中心選手です。今シーズンのリーガのアシストランキングでメッシに次ぐ8アシストをマークするなど、その才能を全面に発揮しています。世界的な知名度はそこまでではないかと思いますが、スペイン人でなければ普通に代表レベルかと思います笑。セビージャの試合を見るときは自然と彼の動きを目で追ってしまいます。先ほども書いた通り、この試合サラビアはトップ下で起用されます。注目したいのは彼のポジショニングです。彼はボールを持っていないときの動きが非常に秀逸です。バルサの主な被カウンター時の弱点は、①アルバが上がった裏のスペース、②ブスケツの脇のスペースの2つですが、ここにいやらしいタイミングで入ってくるんですよね。基礎技術が高いので流れながらでも容易にパスを受けることができ、さらに行動範囲も広いのでカウンターのスイッチ役にはもってこいの選手です。特にこの試合では、アルバの裏のスペースを、恐らくセビージャがチームとして狙っていたかと思います。サラビアはメルカドのゴールをアシストしましたが、1アシスト以上の貢献度はあったかと思います。ホント、スペイン人の中盤って足元上手いのもそうなんですけど、そういうテクニック以外の部分ですごく上手いなあって感じますよね。ビジャレアルのフォルナルスとかもそうなんですけど。なんかサラビア推しの記事みたいになってしまうのでこの辺でやめておきますか笑。興味ある人は是非追ってみてください。
【後半】
1点のビハインドを追うバルサは後半開始と共に選手交代を行います。セメド→セルジ・ロベルト、ビダル→デンベレ。それにより配置も変化します。
図のような4-2-3-1(もしくは4-4-2)に変更となりました。メッシ、スアレス、デンベレ、コウチーニョの4人そろい踏みです。さて、この交代にはどのような意図があったのでしょう。
◎メッシ右ウイングの攻撃面のデメリット
今までの記事で散々メッシの右ウイングの守備面での難点を書いてきました。
では攻撃面では完璧なのかと言われるとそのようなことはなく。もうお気づきの方も多いかと思いますが、メッシは右ウイングでありながらほとんど右サイドにいません。まさに偽WGです。試合によってはほぼ真ん中でプレーすることもありますから、メッシの固定ポジションなんてあってないようなものです。そのため右サイドにはぽっかりと穴が空きます。この試合の前半ではメッシ留守中の右サイドを担うべきだったのは、右インテリオールのビダルと右SBのセメドでしたが、お世辞にも攻撃力があるとは言えない二人に右サイドの攻撃を成り立たせられるわけもなく、攻撃は中央に偏ります。こうなってくれば4-4ブロックで待ち構えるセビージャにとっては格好の餌食。基本的には4-4のブロックは横の揺さぶりには弱いのですが、サイドチェンジなどもほとんどなく、漫然と中央突破を狙ってパスカットやボールロストを繰り返した前半でした。あれだけ対人守備の弱さを露呈しているセルジ・ロベルトがSBとして重用されているのは、まさにこのメッシのポジショニング故なんですよね。事実、後半投入されたセルジ・ロベルトは頻繁に高い位置を取り、バルサの攻撃に幅をもたらしました。スピードのあるデンベレも加わりましたから、一気にバルサのサイド攻撃は活性化します。ピッチを広く使えれば必然的に相手も広い範囲をカバーする必要があるため、中央が空いてきます。バルサとしてはサイドを有効活用することは非常に大切です。
◎そして試合を決めるのはいつもメッシ
そんなわけで時折カウンターを受けながらも、後半はバルサがセビージャを押し込みます。セビージャの指揮官のマチンも守備のエネルギーを切らさぬように後半15分までに3枚の交代枠を使い切りますが、サイドを使われ始めたことで中央にスペースが空いてきます。マチン監督からしてみれば左SBのウェーバーの負傷は痛かったかもしれません。あれで5バックシステムへの変更を余儀なくされましたから(まあ元々変更する予定だったかもしれませんが)。ただバルサとしては、スアレス、デンベレ、コウチーニョが前線を形成することで相手の守備陣をピン止めすることに成功しました。これによってメッシの自由度が高まります。67分、メッシがGKバツリークにプレッシャーをかけるとバツリークがミスパス。拾ったラキティッチが右のデンベレに展開すると、デンベレはメッシに折り返し。これをメッシが右足で叩き込み、バルサが同点に追いつきます!こうなってくれば勝ち点3が欲しいバルセロナ。攻め続けると85分、セルジ・ロベルトが右の裏のスペースに走りこんでボールを受けるとバイタルエリアで待つ途中出場のアレニャにパスをすると、アレニャは迷わずミドルシュート。これはケアがブロックをしますが、そのこぼれ球がなんとメッシの目の前に。慌てて飛び出すGKバツリークを嘲笑うようなループシュートを放つとこれがゴールに入り、バルサが逆転に成功します。メッシの後半の2ゴールはいずれも右サイドから生まれました。バルベルデからすると采配ズバリというところでしょうか。ホームで負けたくないセビージャは攻め込みますが、逆に後半ロスタイム、テアシュテーゲンのキックから始まり、メッシがスアレスに浮き球スルーパス。これをスアレスが冷静に決め、万事休す。このプレーで試合は終わり、バルサが4-2で勝利しました。メッシは結局終わってみれば、3ゴール1アシスト。結局試合を決めるのはメッシなんですね笑。
【雑感】
セビージャとしては勝てた試合だったかもしれません。ここ最近上手くいってなかったこともあり、それゆえの戦術変更だったかと思います。チームとしては非常に機能していました。バルサに屈したというよりはメッシに屈したという表現が適切かもしれません苦笑。現実的な目標としてはCL出場権獲得とEL制覇でしょうか。怪我人も多く、研究もされ始める時期だとは思いますが、なんとか踏ん張って欲しいところ。サラビアやムニルを始め、気になる選手が多いチームでもあるので、是非頑張ってほしいです。
バルサとしては非常に意義のあるゲームでしたね。クラシコ2連戦に向けてローテーションの必要性も叫ばれていました。しかし、難所ピスファンでの勝ち点3、メッシハットトリック、不調スアレスにゴール、ユムティティの復帰、累積リーチだったラキティッチとビダルが警告をもらわなかったことなどポジティブな要素は多かったのではないでしょうか。内容もうちょっとなんとかならないのかとも思わなくはないですが、正直今の状況で、内容も求めるのは酷かな、と。疲労は心配されるところですが、マドリ―よりも1日長く休めますし、クラシコであればテンション上がるし何とかなるのでは?と楽観的に考えています笑。やはり心配なのはコウチーニョ。チームからの信頼感が欠如しているような気がしてなりません。今回は4人のアタッカーを同時に起用しましたが、あの役割ならアレニャでもいいのではないでしょうか。チームとしてのパスを出す順番も明らかに4番目でしたし、相当厳しく感じているかと思われます。クラブ史上最高額で移籍してきたこともあり、チャンスは与えられていますが、このままだとチーム内から不満が出かねません。コウチーニョも次第に良くなってきているとは思うので、好意的に考えていきたいところなのですが・・・。本来期待されている働きではないのが現状です。現チームにはハマりきってはいないですね。改善してほしいところです。逆にアレニャにはやはり期待できますよね。彼には積極性があります。メッシの勝ち越しゴールも彼のミドルシュートから生まれましたし、若い選手がエネルギッシュにプレーしてくれるとこちらは嬉しいですね。クラシコで出番があるかは分かりませんが、出てほしいな~
さあ、クラシコ2つ取りましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。