
こんにちは。Hikotaです。体調不良で久々にリアタイ不可でしたが、たまにはディレイもいいですね。
試合背景
アトレティコとの3番勝負に挟み込まれたのはエスパニョールとのダービーでした。前節と金曜開催の今節のゲームで2位マドリーが勝ち点を落としたため、バルサはこの試合で勝ち点3を手にすると残り7試合で9ポイントのアドバンテージを得ることになります。
とはいえ、アトレティコとのCLの1stレグで0-2で敗れており、否応なしにミッドウィークのCLを念頭に置いた選手起用と試合運びが求められますが、フリックの選択はどうなるでしょうか。
近年は苦戦が続いているエスパニョールですが、今季の前半戦は絶好調を維持。10勝4分5敗の5位の成績は近年で最も良いスタートなのではないでしょうか。今季の前半戦の台風の目になっていました。
しかし、年明け1発目のバルサ戦から何と13試合勝ちなしと大ブレーキがかかります。後半戦では僅か4ポイントしか積めず、順位も10位まで下がってしまいました。前半戦の貯金から降格リスクはまだ低いと思いますが、未勝利が始まった同じ街のライバル相手に浮上のきっかけを作りたいところでしょう。
前半戦の対戦ではバルセロナが終盤の2得点で何とか2-0で勝利を収めています。
スタメン

バルセロナ
CLのアトレティコ戦から5人の先発変更。もっと大規模なローテも頭にあったので全然入れ替えてないやんけ!というファーストインプレッションでしたが、半分は入れ替えていました。アラウホ、バルデ、フェルミン、フェラン、ガビが先発です。ガビの先発は今季初めてです。
欠場者はクリステンセン、ベルナル、ラフィーニャ。ベルナルは残念ながらアトレティコ戦に間に合わなそうですが、フレンキーがベンチに帰ってきたのは朗報です。
エスパニョール
前節のベティス戦から2名の変更。CBのカレーロとCFのキケ・ガルシアが先発します。キケ・ガルシアは今季6得点でチームトップタイです。ラリーガのストライカーって息が長い選手が結構多いですよね。
欠場者は累積で出場停止のリーデルと、負傷のプアドです。
試合展開
前半
エスパニョールの狙いを打ち砕いた才能
年明けの不調に引きずられるように序盤からエスパニョールは自陣に下がります。バルサ陣内にボールがあっても早々にハーフラインよりも手前に引き下がり、コンパクトなブロックを敷いてバルサの仕掛けを待ちます。
特に序盤は右サイドハーフのエンゴンジェが対面のバルデとランデブーする構えを見せており、5-3-2のような陣形になることもしばしばでした。

エスパニョールの狙いは明白で、自陣にバルサを引き込んでの高速ロングカウンターです。ボールを奪うと素早くバルサの浅いラインの裏に蹴り込み、2トップとスピード豊かなサイドハーフが走り込む形でチャンスを伺います。
12分に自陣でボールを奪ったCBから一本のフィードでキケ・ガルシアが完全に抜け出したシーンはまさに狙い通りでしょう。これはエスパニョールとしてはモノにしたいチャンスでした。
プレッシングではなく撤退を選ぶことでまずは失点のリスクを最小限にした上で、何とか綻びを突き続けたいエスパニョールでしたが、その狙いを打ち砕いたのは18歳のエースでした。
まずは9分、右サイドの高い位置でヤマルがボールを持つとアラウホのインナーラップに華麗なヒールパスを合わせ、コーナーキックを獲得。ヤマルがファーに蹴ったボールをフェランが頭で合わせてバルサが先制します。
更に25分に追加点。またしても右サイドでボールを受けたヤマルが得意なアウトサイドスルーパスを出すと、抜け出したフェランが巧みなシュートで相手GKを破ってこの試合2点目をマークします。
ヤマルの2アシストであっさりと2点のリードを奪ってしまいました。ここ数試合のヤマルは身体のキレは凄まじいものの、なかなか特典やアシストに結びついていなかったのでアトレティコとの大一番前に1つ自信がついて良かったですね。
自信がついたとまでは断言できないかもしれませんが、フェランにも久々のゴールが生まれてホッとしました。2点目は彼らしいゴールでした。ここから乗っていけるといいのですが。
ガビ左ウイングの効果
この試合のトピックとしては今季初先発となったガビの左ウイング起用でしょう。4月頭に出したラフィーニャの記事では、ガビには今季そこまでの負担をかけないだろうと述べましたが、ここでしっかりと先発で使ってきましたね。
コンディション的には不安が残りますが、フリックの信頼は負傷前と変わらずに厚いようです。ただでさえ好戦的な性格なのでコーチ陣にはくれぐれも慎重になってほしいところですが、この終盤は総力戦ということなのでしょう。
ガビはシャビ政権でも左ウイングを務めており、その効果は実証済みです。当時と同じく、彼は左サイドには留まらず頻繁に中盤に落ちることで、「4人目の中盤」としてチームの円滑なボール回しに寄与することで自らの価値を示しています。
フェルミンやオルモのようなアタッカーとしての気質はあまり見られないために、左ウイングでありながら実質的な役割は2.5列目の選手です。
特にエスパニョールにとって厄介だったのは頻繁にペドリと位置を入れ替えてくることでした。ガビが空けたスペースにペドリが進出するパターンは狙っており、39分の決定機はまさにガビが下がることで空いた左の高い位置に、ペドリが抜け出して得たものでした。

また、彼の武器はなんと言っても非保持の部分。プレッシングの質と量もそうですが、中盤でのデュエルの強さはチームでも屈指です。
フェランの2点目も中盤のルーズボールをガビがいち早く反応してヤマルにヘディングで繋いだところから生まれました。攻守両面で中盤を活性化させることができます。
ただし、ガビの左ウイング起用は中盤の構成力は強化される反面、左サイドの攻撃力自体が下がってしまうのもネックとしてはあります。前述の通り、ガビはウイングやセカンドストライカーとし振る舞わないので、その分サイドの崩しの多くはSBのクオリティに依存することになります。
この日の左SBに入ったバルデはカンセロほど保持のクオリティが高くはなく、大外で孤立しては無理筋なクロスを試みて失敗する場面が散見されました。バルデとしてはもう少し助けが欲しそうな雰囲気でした。
先述の通り、序盤はバルデへの対応としてエスパニョールは右サイドハーフのエンゴンジェを下げる形で対応していましたが、ガビがあまりに左サイドにいないので途中からエンゴンジェを前に出して右SBのエル・ヒラリがバルデを見る形に変えていました。
となると、ガビ左ウイング起用の場合はカンセロ左SBの方が面白いかもしれませんね。お互いを補完し合うという意味でいいコンビになるかもしれません。カンセロの前回所属時はガビが大半離脱してしまっていたので、実はあまり同じピッチには立っていない2人です。
ガビの躍動とともに、バルサは果敢に3点目を狙いに行きますが、前半はこのまま終了。バルサが2点リードで折り返すことになりました。
後半
2トップの強襲が実って
バルサもエスパニョールもハーフタイムで動きました。バルサは前半に足を痛めたマルティンを下げてカサドを投入。エスパニョールはサイドハーフのドーランを下げてロベルト・フェルナンデスを投入します。

バルサはエリックをCBに下げ、カサドをピボーテに入れます。クバルシ右・エリック左のパターンが多いですが、恐らくアトレティコ戦ではエリックが右をやることになるので、いつもと逆にした形でしょうか。マルティンの無事が大前提ですがどうでしょう。
エスパニョールは4-4-1-1のままのようにも見えなくもなかったですが、役割としては2トップ表記の方がしっくりくるので4-3-1-2に変えたことにします。左サイドは根性でロサーノが守る設計になっていました。相手がアラウホならギリ成立するといったところでしょうか。
前半よりもアグレッシブに前に出るようになったエスパニョールは、空中戦でアドバンテージが取れる2トップへのロングボールを起点に少しずつバルサを押し込み始めます。エアバトルで張り合えるマルティンがいなくなったタイミングでロベルト・フェルナンデスはバルサにとっては嬉しくありません。
56分。バルサの3点目がVARで取り消された直後でした。CFへのロングボールで得た右サイドでのスローインをエスパニョールがクイックリスタート。
バルサのDFラインの背後で受けたエスポシトがクバルシをかわしてクロスを上げます。バルサのクリアが小さくなったところにフリーでシュートを放ったのはロサーノ。これがファーサイドに決まってエスパニョールが1点差に詰め寄ります。
バルサとしては完全に集中力が切れてしまった形で勿体無かったですね。ただ、エスパニョールとしては後半形を変えてトライしたことが報われた結果でした。この得点によってエスパニョールは勢いづくことになります。
「勝って次へ」
追いつかれたバルサは64分にガビとバルデを下げてラッシュフォードとカンセロを投入。更にその10分後にはフェランを下げてオルモをCFに配置します。

勿論下げた選手を休ませたい狙いもあるでしょうし、投入した選手をアトレティコ戦に向けて試運転したい気持ちもあったかと思いますが、個人的にはフリックのこのゲームを勝ち切りたい意思を強く感じました。
ラッシュフォードとカンセロのコンビで間違いなく左サイドは活性化し、いくつかのチャンスが生まれかけますが、70分〜85分の時間帯はエスパニョールの時間帯で、より多くのチャンスはアウェイチームが掴みました。
ここでフリックは最後の交代を決断。83分にフェルミンを下げて負傷明けのフレンキーを投入します。これでバルサは交代枠を使い切り、主力のヤマルとペドリのフル出場が確定します。

最後に勝利の女神が微笑んだのは、より勝利を強く望んだ方でした。
87分、中盤でのデュエルに勝利したカサドが前方へスルーパス。抜け出したヤマルがドゥミトロビッチを制し、無人のゴールへ流し込んでチーム待望の3点目を記録します。
そして直後のキックオフ。気合いの入ったプレッシングで相手を追い込み、アラウホがインターセプトで奪ったボールがヤマルに渡ると、右ポケットに走ったフレンキーにスルーパスが出ます。
GKを引きつけたフレンキーはファーサイドへの浮き玉のクロスを選択。やや後方に流れたボールをラッシュフォードが巧みに右足にヒットさせ、あっという間にリードを2点に広げました。
試合はこのまま4-1で終了。バルサが勝ち点3を奪い、2位マドリーとの勝ち点差を9に広げました。
雑感
まず勝ち点3は喜ぶべきです。その上で語らなければならないのはこの試合のフリックの選手起用でしょう。
重要度の高いCLの1stレグから中2日、2ndレグまで中2日のシチュエーション、しかも1stレグはホームで2点ビハインドを背負っている状況なので、この試合で主力選手を大胆に休ませるべきだったという意見が出るのは不思議なことではありません。
ましてや、ラリーガでは暫定で7ポイントのアドバンテージを得ており、仮にこの試合を落としても優勝争いで優位なことは変わりません。ペドリやヤマルといったアンタッチャブルな存在を丸々ベンチに座らせたとしても違和感のある状況ではないでしょう。
裏付けるように、対戦相手のアトレティコは今節大幅なローテーションを敷いており、先発した主力組は2ndレグを出場停止で欠場することが決まっているプビルのみでした。ラリーガのタイトルの可能性がほぼ潰えた彼らにとってCLに専念する以外の選択肢はないのでしょう。
休養という意味では1stレグと同じく、アトレティコの選手たちの方がフレッシュな状態で臨むことになります。
ただ、そんなことはフリックも百も承知でしょう。その上でこの選択をしているのは彼なりに考えてのことなのだと信じます。
フリックからすると最悪なシナリオは、「連敗して雰囲気が重くなった状態で、2ndレグを迎える」ことだったのではないでしょうか。バルセロナというクラブにとって連敗はメディアやファンの反応も含めて、我々が想像する以上に重たいものがあるのだと思います。
勿論早々に大差をつけてペドリやヤマルを休ませるプランもあったと思いますが、1点差の時間が長くなったことで、休養よりもこの試合に勝って気持ち良く決戦に向かうことを重視したのでしょう。事実、勝った後のチームの雰囲気は明るいように見えました。
このゲームで思い出したのは18-19シーズンのセルタ戦でした。リバプールとのCL準決勝の間に組まれたこのゲームでバルサはスタメン全員を入れ替える大幅なローテーションを敢行して敗戦を喫します。スタメンにはシレッセン 、トディボ、ヴェルマーレン、アレニャ、リキ、ボアテング、マルコムなど懐かしい名前が並んでいます。
2ndレグで世紀の大逆転負けを喫したことと、このゲームがどの程度因果関係があるのかは分かりませんが、バルセロナの露骨なローテーションに良い思い出がないのも確かです(笑)。
また、フリックは点差がついたゲームでも選手たちに手を抜かせないタイプの監督です。バルセロナに来てからは温和なキャラクターも垣間見せていますが、本来は厳格で妥協のない指揮官です。
彼にとっては重要な試合が控えていたしても目の前の試合に全力を尽くさないのは嫌なのでしょう。「Partido a partido」はシメオネアトレティコのキャッチフレーズですが、今回はフリックにその精神があるように感じます。
不器用で頑固ですが、彼の信念の強さでバルサはタイトルが狙える位置まで戻って来れたのは確かです。
だからと言ってペドリやヤマルに負担が集中するのは心配でしかありませんが、選手たちのコンディションの本当のところは正直側から見ているだけでは分かりません。試合に休ませるのが必ずしも功を奏するわけではないでしょう。
フリックとコーチングスタッフの判断を信じて、我々は応援するしかありません。是非は結局結果でしか判断されないでしょうから。
目の前の試合をかなぐり捨ててまでもCLへの執念を見せ続けるシメオネ・アトレティコと、目の前の試合で積み上げ続けることを選択したフリック・バルサ。様々な文脈を残しながら、両者は集大成となる今季6回目の対戦を迎えることになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。