Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【考察】クラシコ目前!23-24のバルセロナの振り返りを実施する 前編

こんにちは!今季は色々書こうと宣言したものの1か月くらい更新サボっているHikotaです。時が経つのは早いもので気が付けばクラシコの季節がやってまいりました。時代の最先端はプレミアということで昨今は影が薄くなってしまったラ・リーガ。話題になること言えば、財政難や審判買収、人種差別といったネガティブなトピックが多くなりました。

しかし、この試合だけはいまだに全世界の注目を集めます。エル・クラシコバルセロナレアル・マドリーの一戦は日本のサッカーファンも多く視聴する試合になるでしょう。今回もアジアの民に配慮したキックオフ時間となっています(日本時間土曜23:15キックオフ)。裏でアーセナルバイエルンの試合もありますが、皆さんこの日は必ずクラシコ観ましょうねということで、予習として23-24ここまでのバルセロナを振り返りをまとめていきたいと思います。

バルサ好きな人もそうでない人も読んでクラシコ前に読んでくれたら嬉しいです!それでは。

↓前回記事はこちらから!

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目次

1,ぶっちゃけ今季のバルサってどうなの?

2,リーガ&マドリーの状況(後編)

3,クラシコに向けた展望(後編)

尚、本記事は読みやすさの観点からインタビュー形式でお送りします。インタビュー形式っていうかまあ僕が自分で自分にインタビューして答えるだけなので、よくよく考えれば気持ち悪い構成というかお前誰やねんって感じですが、まあ気にせずお読みください!

 

1,ぶっちゃけ今季のバルサってどうなの?

ーそれでは始めていきましょう。よろしくお願いします。まずは今季のバルサについての印象を聞きたいです。

「よろしくお願いします。今季のバルサは昨季と比べると観ている側からすると格段にエンタメ性が上がったと思います(笑)。得点も失点も多いチームに変わりました。1点差の勝利が多かった昨季に対して、今季は本当によく点が入ります。ベティス戦(5-0)やアントワープ戦(5-0)の大勝もそうですし、ビジャレアル戦(4-3)やセルタ戦(3-2)の打ち合いが象徴的ですね。」

バルサはここまでリーグ戦で22得点10失点。1試合平均にして2.2得点1失点です。昨季の全38試合の平均を取ると1.84得点0.52失点なので、シーズン1/3消化していない時点での比較ですが、確かに数字にも表れています。要因はどこにあるのでしょうか。

「主因はシンプルに人選ですね。昨季と比べて攻撃的なメンバーになりました。大きく変わったのは右SBと左WG。22-23はこの2つのポジションは非保持時の強度やボール保持の観点からクンデとガビがレギュラーを務めていましたが、今季はここに”ジョアン”コンビが入りました。両者とも前任者に比べると明らかに攻撃的なキャラですよね。」

23-24バルセロナ基本フォーメーション

ーカンセロとフェリックスですね。開幕からレギュラーに定着した彼らの活躍は目覚ましいですよね。目に見える結果だけで言ってもフェリックスが9試合で3ゴール3アシスト、カンセロが2ゴール1アシスト。両者とも公式戦8試合連続先発中ですし、欠かせない存在に早くもなりました。そういえば2人の獲得に反対してませんでしたっけ?

「カンセロは反対してないですけど、フェリックスはめちゃくちゃ反対派でしたね(笑)。今はすっかり掌返しさせられました。ごめんなさいです本当に。ここまでやってくれるとは思いませんでした。言い訳させてもらうと、ここまで低コストで獲得できるとは思ってませんでしたし、夏のあの不貞腐れ具合からこの活躍は想像できませんって(笑)。」

ーそう考えると、最初からフェリックスの獲得を推していた方々は慧眼でしたね。今夏の補強で言うと、彼ら以外にシティからイルカイ・ギュンドアン、ジローナからオリオル・ロメウビルバオからイニゴ・マルティネスを獲得しましたが、彼らの働きはいかがですか。まずはギュンドアンから。

「フェリックスが発注以上の品質を与えてくれた新進気鋭の若手と表現するのであれば、ギュンドアンは一寸の狂いもなく期待通りの製品を納品してくれるベテラン技師です。技術は言わずもがなですが、前進できない時間帯に3列目に下がって出口を作ったり、チームメイトへの的確なコーチングでチーム全体をオーガナイズしてくれたり、とにかく”チームを助けられる”選手だなと改めて感じました。昨季はリードすると途端にボールを保持できなくなり、相手の猛攻を何とか耐えて...という展開が多かったですが、ギュンドアンの影響でボール保持で時計の針を進める時間帯も出てきました。とてもいい傾向です。」

ドイツ代表でもキャプテンですし、彼をフリーエージェントで獲得できたのは何かのバグでしたよね。オリオル・ロメウはいかがでしょうか。セルヒオ・ブスケツの後継者はあまりに荷の重いタスクかと思いますが。

「元々彼がブスケツの代わりだと思っているバルサファンはいないと思います(笑)。流石にブスケツは次元が違うので。ロメウはここまで2つの顔を見せています。1つはフレンキー・デ・ヨングの副官としてのハイパフォーマンス。開幕から数試合はドブレピボーテ(ダブルボランチ)のような形で彼とコンビを組みました。バルサのビルドアップ隊の中で相手にとって最も厄介なのはどう考えてもフレンキーなので、ロメウは中盤センターながらある程度の自由を享受できました。その状況下でシンプルなプレーと屈強なフィジカルで存在感を示しました。フレンキーに預けておけば勝手に運んでくれますし(笑)。」

ーそう考えると昨季のブスケツとフレンキーの関係性に似てる部分もあるんでしょうね。あれはどっちかと言うと主従が逆だったので、フレンキーが実質的にはブスケツに代わる大黒柱になったんだなあと思うと感慨深いですね。そしてその大黒柱が怪我でいなくなってからのロメウは路頭に迷ってしまったと。

「まさに。1アンカーであるが故に狙い撃ちにされて粗が出まくっている状態です。基本技術は備わっていますが、キックのレンジだったり、ターンの滑らかさであったりプレーキャンセルの精度だったりがバルサのアンカーに求められるレベルまで到達していないことを残念ながら露呈しています。フレンキー離脱後の第7節マジョルカ戦でのパフォーマンスが低調で、第8節のセビージャ戦ではギュンドアンがアンカーで起用されロメウはベンチスタートだったので、シャビとしてもうーんという出来だったのだと思います。」

ーそう考えるとフレンキーの復帰を誰よりも待ちわびているのはロメウかもしれませんね。イニゴはまだ先発2試合なので査定は時期尚早でしょう。いつの間にか個人の話になってしまったので、もう一度チーム全体に話を戻したいです。得点が増えたということでしたが、ボール保持に変化はありましたか。

「昨季に比べると安易なクロス爆撃が減って中央突破の回数や丁寧な崩しが増えたように思います。データとっているわけじゃないのであくまで印象論ですけど。これはフェリックス、ギュンドアン、カンセロの加入の効果が大きいでしょう。特に狭いスペースでも難なくプレーができるフェリックス、ギュンドアンの影響は強いと感じます。昨季はこのキャラクターがペドリしかいなかったので。あとは序盤戦アラウホがいなくてクンデ&クリステンセンのコンビが続いたので、後ろからいいフィードが飛んでくることは増えました。クンデはチャレンジが多い分ミスも多いですが(笑)。」

ーメカニズムの面ではいかがですか。

「カンセロが入って保持時2-3-2-3が可能になったことが1つの変化かなと思います。下図見た方が早いと思いますが、カンセロがインテリオールっぽく振舞うことで実現しました。21-22のアウベスロールに近いです。」

カンセロ入り2-3-2-3

「カンセロが右インサイドに上がり、ガビが左インサイドに落ちる形がCL第1節のアントワープ戦でした。昨季の3-2-2-3に比べると、トライアングルが作りやすく左右のバランスが是正されました。昨季は右SBクンデだったので、どうしても右WGが孤立しがちでラフィーニャが強引な突破やクロスを試みてボール保持が終わってしまうことが多々ありました。なので今季はこのポジションにカンセロが入った効果は大きかったです。カンセロの貢献については是非こちらの記事を読んで欲しいですね。無論、右WGのファーストチョイスとなった天才ラミン・ヤマルの存在も絶大です。」

ーヤマルの話はあとでたっぷり聞きます(笑)。ちょっとここで時系列を整理しましょう。カンセロとフェリックスが初スタメンを飾ったのは9月の代表ウィーク明けの第5節のベティス戦でした。このベティス戦と次のCL第1節アントワープ戦でバルサは5-0の大勝を飾ったわけですよね。まさにカンセロ、フェリックス効果だったと思いますが、続くセルタ戦、マジョルカ戦は苦戦を強いられています。どちらもリードを許す展開で、セルタ戦は何とか逆転(3-2)、マジョルカ戦は同点(2-2)にやっと追いついた形になりました。今季のバルサの底力を示すゲームでもありましたが、苦戦の要因はありましたか?

「セルタ、マジョルカに共通する事項は5-3-2でゲームに臨んできたことです。マジョルカは普段から5-3-2だと思うので対策をしてきた!みたいな感じではなかったと思います。いずれにしても5-3-2攻略に苦しんだというのはリアルだと思います。」

ーやっぱり5バックを崩すのが難しい?

「うーん、まあそれもあると思いますが、結果論ですけど2試合で5得点奪っていますから。5-3-2でがっつり守られたらシティでもマドリーでもそれなりに苦労はするんじゃないですか。それよりも気になったのがネガトラの脆さです。ボール保持で押し込んで奪われた後、ボコボコにカウンターで背後を突かれました。」

ーそれはやはり昨季と保持時の配置が変わったことに起因すると考えていいでしょうか。

「はい、そう思います。昨季は後方に3枚CBが待機する形だったのでカウンター対応は鉄壁でした。アラウホもクンデも速いですし、クリステンセンは空中戦勝率高いので。しかし、カンセロを起用して中盤化することでどうしても後ろは薄くなってしまいます。カンセロはフリーダムに左サイドまで進出することもあるので(笑)。相手の2トップに対して2CBのみで対応することを強いられることが多いですね。CB前のフィルタリングという意味ではフィジカル的に無理が効くフレンキーの離脱も大きいポイントです。」

ー早くもカンセロ起用の功罪両面が出た形なんですね。その後のシャビの対応はどんなものだったのでしょうか?

「最近の試合ではカンセロの振る舞いと立ち位置が偽ではなく純正SBのそれに近いものに変わってきていると感じます。これは明確にシャビがカンセロのプレーエリアに手を加えたんじゃないかなあと推察しています。カンセロを右SBの位置に留めておくことでチーム全体のバランスを崩れすぎないようにしているのではないでしょうか。あとはフェリックスをワイドに張らせてバルデの初期位置を下げるというのも併せてやっていました。要するにSBを定位置寄りに調整したということですね。」

ーそう考えるとやっぱりシャビは保守的な色が強いですよね(笑)。ただ、カンセロを普通の右SBとして運用するのはちょっと勿体ない気も。。。

「そうですね。フレンキーが離脱中というのが1番の要因ですが、ビルドアップはやっぱり詰まり気味ですね。低い位置に留まるSBのところでどうしてもノッキングしてしまうというのは悩みとしてあります。直近のビルバオ戦なんかは相手を引っ張り出して背後を狙うが明確な意図としてあったと思うので、全部が全部だめというわけではありませんけどね。」

ーフレンキー離脱の話が出たので負傷者の話にも触れておきましょう。今季は財政難のためトップチームの登録選手が19名で、トップに常時帯同しているBチーム登録のヤマルとフェルミン・ロペスを入れても21名。ただでさえスモールスカッドにも関わらず現在の負傷者は6名。厳しい状況ですね。

「シーズン頭からペドリ、アラウホが離脱したところから負傷者の連鎖が続いています。ペドリはギュンドアンが、アラウホはクンデがその穴を埋めて何とかしましたが、レバンドフスキとフレンキーはちょっと同じタスクがこなせる選手がいない分、しんどいなあという感じです。」

ーただ負傷者続出は今季のバルサにとって悪いことばかりではありません。今季のバルサもまた若手の台頭が目立つクラブとなっています。

「ラミン・ヤマルはまさに天からの贈り物といった形で、電撃退団を果たしたウスマン・デンベレのことを完全に忘れさせる存在です。ゴールこそまだ少ないですが、ドリブルやキックの精度、キープ力、プレー選択の面で前任者を凌ぐパフォーマンスを見せています。あれで16歳。信じられないレベルです。A代表にも普通に呼ばれてますから。異常ですね。」

ーヤマルを見ていると、デンベレももしかしたらヤマルにポジション争いで負けることを恐れたのでは?と勘ぐってしまうくらいとてつもない才能ですよね(笑)。まあデンベレはそんなこと考えてないと思いますけど。近年のバルサはアンス・ファティ、ペドリ、ガビ、ヤマルと怪物級が次々に出てきますね、ペドリはカンテラーノじゃないですけど、軽視されてきたカンテラ復権は近いでしょうか。

「そう思います。今はお金使えないので、カンテラーノにとってはこれ以上のチャンスはないでしょう。例えば、先日のビルバオ戦で鮮烈な決勝弾を決めた17歳のマルク・ギウはトップチームの財政が健全であればこの時点でベンチ入りどころか練習参加することすら叶わなかったと思います。ガビやヤマルは多分誰が監督でもどのような状況でも遅かれ早かれトップに上がっていると思いますが、”怪物側”ではない選手がチャンスを活かして成り上がっていくのを見るのも楽しいし、それが醍醐味だと思います。」

ーそれこそかつてのペドロ・ロドリゲスやセルジ・ロベルトのようなラッキーボーイ的な存在ですね。そういう意味で彼らの系譜を継ぐのがフェルミン・ロペスになるでしょうか。

「そう願いたいですね!フェルミンは本当にラッキーボーイ感が強いです。昨季3部のチームに武者修行に出て、プレシーズンでシャビの目に留まって出場したクラシコアメリカで開催されたPSM)で鮮烈なミドル弾を決めトップチーム定着...。あまりに綺麗なストーリーです。実際プレー見るとボールテクニックは高いものがありますが、非保持時の挙動に大いに課題有りなのでその辺りは今季試合に出ながら学んでいきたいところです。」

ーはい、長くなったのでそろそろ締めましょう。改めて今季ここまでのシャビバルサの評価を教えてください。

「手放しで評価できるわけではありませんが、スモールスカッドを上手く運用していると思います。怪我人がこれだけ出ているなかで、公式戦無敗なのは一定の評価は得てもいいのかなと。途中の話でも出ましたけど、やはりシャビは保守的というか慎重なプランニングをするのでそこへのネガは今後も出てきそうですが、若手選手の抜擢も含めて彼にできることは最大限やってくれているなと思います。まだ所謂ビッグクラブとの試合はないので、そういった意味で週末のクラシコが今季最初の資金石になるのではないでしょうか。」

 

はい、ということでここまでです。続きは後編に回します。後編のフォーマットは検討中です。是非次もお付き合いください。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。