Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】シャビはなぜSBを中盤化しないのか考えてみた

こんにちは!Hikotaです。

今回は、考察です。バルサの保持時の問題におけるSBそうするねん問題。なぜシャビはSBを低い位置に置いているのか?という点。どうぞ!

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バルサが抱える保持面の問題

現在シャビバルサが抱えている保持面の問題点は、主に2つの局面に集約できます。

①ゾーン1でハイプレスをかけられた際

②ゾーン3で相手の5バックにスペースを消された際

いずれにしても鍵を握っているのはバルサ側のSBの挙動になります。

①の局面においてはプレスを受ける際にシャビバルサのSBは1番外側のレーンの低い位置に留まることがほとんどです。同サイドのCBからボールを受け取れる位置ということですね。

しかしながら、自陣大外は得てして非保持側のボール奪取ポイントに設定されることの多いエリアです。なので最近は「SBは低い位置で外に張ってはいけない」という論が盛んに取り上げられていたりします。

しかしシャビバルサにおいてはハイプレスを受ける際に普通にSBが低い位置でボールを呼び込むことが多く、結果としてクリーンな前進が上手くいかないというシーンが見受けられます。

例えばPSMのアーセナル戦。コンディションが良く自信を持ってプレッシャーをかけてきたアーセナルのプレッシングをバルサは回避できず、自陣に押し込まれ続ける前半となりました。

プレシーズンマッチアーセナル

この試合の前半のSBは左にマルコス・アロンソ、右にデストが入る形。彼らにボールが入ると、対面のアーセナルサイドハーフが内・斜めのパスコースを切るようにアプローチ。パスコースは同レーンに立つWGのみとなり、WGへの角度のない縦パスはあっさりとアーセナルのSBに潰されることになります。結果として自陣から脱出できない、もしくは背後への率の低いロングボールに終始する形になりました。

結果的にバルサは後半にバルデを投入し、バルデが単独のドリブルでプレスを剥がすという属人的なやり方で解決を試みました。バルデすげえ!案件だったわけですが、仕組みは変えませんでしたね。

手数をかけずに相手の守備組織が整う前に背後を狙うシャビバルサは、4-2の形で相手のプレッシングを引き込み、手薄になった前線に素早くボールを送り込む狙いがあると思われますが、ターゲットが35歳を迎えフィジカル的な限界を露呈し始めたレバンドフスキ、スピードや単騎での突破力がそこまで高いわけではないラフィーニャでは割のいい前進方法とは言えません。特にCBの処理能力が高い強豪相手では。

②の局面においては左右非対称になるのがシャビバルサの特徴です。

シャビバルサ敵陣崩し局面

左サイドはバルデがWG化し、偽WG(ギュンドアンorガビ)と左ボランチ化するフレンキー、左サイドに流れがちなCFのレバンドフスキが混在する密集地帯になることが多いです。勿論メンバーもよりますが、ギュンドアンが入った今季はその傾向が強くなるでしょう。

一方の右サイド。大外はラフィーニャが務めます。SBは昨季ならクンデ、今季はアラウホが担当するポジションで、3バックの右もしくは下がり目のSBとして後方に留まるのが基本線。駆け上がることもありますが、基本はネガティブトランジションに備えて後方待機しています。選手の特性としても理に適ってはいますし、右SBに守備的な選手を置くことによって失点数が激減したことは見逃せない事実です。

しかし崩しの局面という観点で考えると、左右それぞれ問題は見えてきます。

バルデは爆発的なスピードが最大の武器で、スペースのある状態で後方から長い距離をドリブルで運ぶプレーが持ち味になります。その一方で前任者のジョルディ・アルバと比べると狭いスペースでのロンドや、背後への抜け出しはまだまだ。よってギュンドアンやフレンキーと十分に共鳴できるかと言われると、「さあどうなるか見てみよう」といった感じです。

そしてラフィーニャ。背後への飛び出しは光るものがありますが、単独での突破力には物足りなさがあります。アイソレーションの状況はアタッカーによっては恩恵を受けられますが、ラフィーニャの場合は苦しい状況に追い込まれることがほとんど。右インテリオールのペドリともあまり共鳴しておらず、ボールを受けるも強引な縦突破を試みるか、苦しまぎれの高速クロスを放って攻撃終了というプレーが目立ちます。

ラフィーニャのプレーのクオリティは低いと言えばそれまですが、仕組みが整っていない分かわいそうな状況でもあります。1人で何とかできる系のデンベレが退団したことを考えると右サイドの仕組み再構築は必須の事項であると思います。

両局面においてSBが鍵を握っているのは間違いありません。近年のフットボールにおいてもSBの重要性は増しています。SBの役割のトレンド変遷をざっくりと振り返ると、

Ver.1:サイドのスペースを守る/相手のウインカーを止める守備がベースの選手

Ver.2:積極的に前方に上がり大外の幅を担当する攻めがベースの選手

Ver.3:中盤やCB化し、可変システムに応じて役割・振る舞いを変える万能な選手

という形で進化をしたと言えるのではないでしょうか。SBに求められる資質は年々増しています。

その基準で考えると、昨季の役割としては右のクンデはVer.1のSBに近く、バルデはVer.2のSBに近いタスクを担っていたと思います。あくまで「従来のSB」としての役割がメインとなったわけです。

昨季に関して言えば保持面でのクンデ、バルデの挙動には物足りなさはあれど、彼らがDFラインに入ったことによる守備面の向上は見逃せません。失点の少なさはシャビバルサの武器であり、それがラ・リーガのタイトル奪還に繋がったのは言うまでもないことです。

しかし、今季の目標がCLでの上位進出だとするなら強豪クラブ相手に守備面の強みだけで戦うのは難しいでしょう。シャビバルサの失点の少なさはどちらかと言えば属人的なものであり、リスクを排したプレースタイルゆえでもあります。昨季得点を量産したレバンドフスキが同じレベルを維持できる保証もありません。ビルドアップと崩しの問題は今季改善したいポイントであることは間違いないです。

そのためにSBのポジショニングや役割を再定義したほうがいいのでは?という流れになるわけです。

 

アウベスの起用法から考えるシャビの考え方

では、なぜシャビはこの保持面の問題、つまりSB問題を放置し続けるのかというのが素朴な疑問になってきます。なんといっても率いるのはバルセロナ。ボール保持の局面の問題をそのままにしているのは不思議な話です。

ここで注目したいのは、シャビが現代的な所謂「偽SB」のタスクを採用したことがないわけではないという点。

ダニエウ・アウベスバルセロナのSB史上最も偉大な1人であろう彼がチームに在籍していた21-22シーズンの後半戦にダニ・アウベスは従来のSBの枠を飛び越え、ブスケツ、ペドリ、フレンキーに次ぐ4人目の中盤としての振る舞いを見せました

結果として中盤の構成力が上がり、チームのボールプレーは向上。タイトル獲得はなりませんでしたが、下位に沈みそうだったチームを2位にまで引き上げました。

21-22バルセロナの後半戦

先日退団したウスマン・デンベレはこのシーズンの後半戦だけで11アシストをマークしますが、その大きな要因がアウベスの巧みなサポートにあったことは言うまでもありません。SBにウイングのサポートをさせると、選択肢が増え、結果として崩しのバリエーションも増すことになります。

なので、SBを中盤に上げて運用するアイデア自体は持っていると思うのですが、アウベス退団後にシャビがクンデやアラウホ、バルデに偽SB的な動きを要求しているようには見えません。

それはなぜかと言えば、「現チームのSB陣にその適性がないと思っているから」、という話でしかないのかなと思います。あまりに安直な結論だと思われかねませんが、僕はそうだと考えています。

シャビのロジックはこうだと予想しています。選手を大雑把に「内側(中盤)でプレーできる選手」と「外側(サイドのレーンまたは最終ライン)でしかプレーできない選手」を2種類に分けていて、「この選手は内側でプレーできる/できない」を元々の才能ベースで判断しているのではないかと。

昔、そういう類の話をインタビューでしていました。ソースを持ってきたいのですが大元の記事がどこにあるのか分からず終いです。シャビが言ってたのは以下のような内容。記憶曖昧ですけど。

  • 中央でプレーできる選手とそうでない選手がいる
  • 中央でのプレーは360度の方向からプレッシャーが来るので自由自在に全方向にターンができる選手でないと厳しい
  • そうでない選手はサイドでプレーするべき

アウベス(と時々アルバ)は内側でプレーできる、つまりターンが問題なくできる選手であり、クンデやバルデ、アロンソはそういった選手ではないと。そういう分類をしているんじゃないかなと思います。

外側の低い位置にSBを置き続ければ、配置的にビルドアップが詰まるのは当然シャビも理解しつつも、あくまで中央は中央の適性のある選手のゾーンだとそういう風に定義をしているんじゃないかなと。クンデやバルデを中盤中央寄りでプレーさせないのはそういう理由ではないでしょうか。

そしてシャビは所謂魔改造みたいなことはやらないですよね。例えばクンデを保持時はボランチでプレーできるように改造するみたいなことはないですね。シャビが監督になってから劇的にプレースタイルが変わった選手は見当たりませんし、恐らく選手の個人戦術を見違えるほど鍛えたり、プレーの志向を変えるということはやらない、もしくはできない監督なのかなと思います。

SBではないですが、デンベレもシャビ就任後は大外に固定され、内側のレーンでプレーすることはほとんどなくなりました。「君は内側のプレーヤー、君は外ね」とシャビの中で明確な基準があると僕は感じています。

自分が世界を代表するミッドフィルダーだったからこそ、シャビの中央の選手に対する要求・プレー水準は厳しく、全体配置のバランスというよりも、誰が中央に立つかという部分を重視しているように感じます

傍から見ている僕らからすると「おいアラウホ、そこの低い位置に開いて立ってる意味あるんか?」と思うんですけど、シャビからすると中央でプレーするスキルの無い選手が中央に入ってくる方が嫌。という考えなんじゃないかなあと予想しています。

 

だからこそシャビはカンセロを求める

ただ、シャビもこのままで良いとは思ってないはずです。レバンドフスキの衰え、ブスケツとの別れ、クンデのCB希望、デンベレの離反…。これらの事実は昨季までのやり方では勝てないことを痛烈に示します。

ということでシャビは昨季からのアップデートということで、特に上手くいっていないビルドアップ及び右サイドの崩しの部分を変えるために、マンチェスター・シティジョアン・カンセロの獲得を目論んでいるのではないかと考えています。カンセロは内側でプレーできる選手、というシャビの認定があるのではないでしょうか。

規律面及び経済的な問題はあるでしょうが、DFラインの選手とは思えないほど技術があり、ペップシティにおいても偽SBの経験がある彼をシャビが欲しているのは、今までの経緯を考えれば合点がいく部分があります。つまり今いる選手をどうにかしようというアプローチではなく、そういうことができる選手を連れて来ようの方向です。

カンセロ入りの想定

カンセロを2シーズン前のアウベスのような起用をするのであれば上図のようなイメージになるのではないでしょうか。

右サイドで今ラフィーニャ1人で孤立しているところをカンセロがパイプ役となり、ペドリや他の選手たちと接続させる役割を担うと思います。。プラスアルファでバルデ欠場時は左サイドバックとして大外のレーンを担うことも想定できます。

一方で守備面は昨季から比べるとマイナスになるでしょう。昨季はCB本職の選手が3人+バルデだったので、カンセロを使う分の守備面のマイナスを考慮に入れると好守ひっくるめた全体収支がプラスになるかどうかは正直微妙なところだなと思います。

結局、保守的なシャビはクラシコやCLの試合ではアラウホを右SBで起用し、左SBがバルデorカンセロになるんじゃないかなという若干ネガティブ寄りな予想を僕はしているんですけど、いい意味で裏切ってくれたら嬉しい所です。

今の報道を追っているとカンセロ獲得はかなり近いように思えます。恐らくレンタルでの獲得になるかと思います。契約体系や買取義務の有無が気になるところですが...。来てくれたら来てくれたで良くも悪くも新しいものをチームにもたらしうる選手です。そこは楽しみに待っています。

 

独り言

改めて考えると、現在のクラブの状況でシャビに監督をやらせるのはなかなかシビアだなと思いました。

「呪術師は才能が8割」って某漫画の先生が言ってましたが、シャビも同じような感覚なんじゃないかなあと思います。自分が天才側だったので。シャビは感覚の選手、ともよく言われますよね。選手に自信を持たせるのは得意だと思いますが、プレーを細かく修正するのは得意ではない。レバンドフスキが「シャビはペップほど細かくない」って証言していましたし。

シャビは多分もっと金銭的に余裕のある時期に監督をやってたらまたちょっと見られ方が違ったかもしれません。それこそスター選手のマネジメントなんかは上手そうですし、団結力のあるチームを作り勝利を目指す空気を作り出す力は今も証明している通りです。

ただ、今は自由に選手獲得もできない状況で、タレントが足りない中でやり繰りしなければいけないバルセロナの監督。なので現有戦力を上手くやりくりしながらという観点ではシャビの能力のベクトルが違っているようにも思います。監督としてのシャビは明らかにモチベーター寄りです。

ここ20年でバルサがCL優勝したシーズンのことを思い返すと、ロナウジーニョリオネル・メッシサミュエル・エトーティエリ・アンリダビド・ビジャペドロ・ロドリゲスネイマールルイス・スアレスと一級線のFWが常にチームにいました。バルサのCLの歴史は3トップの歴史でもあります。

半分くらいの試合を欠場してきたデンベレ、34歳を迎えてピークを過ぎたレバンドフスキ、25歳でビッグクラブ初挑戦となったラフィーニャの前線主力スカッドはお世辞にも歴代3トップと肩を並べるレベルにあるとは言えません。中盤のメンツは豪華ですが、最終的には前線の選手が違いを作れるかどうかがCLのような短期決戦では物を言います。それでもGLは突破して欲しいのが本音ですけど、優勝できるスカッドだとも思えません。

この状況下でシャビという監督のカードを切らなければいけなかったのは辛いところだなあと思っています。恐らくシャビ監督政権下で黄金期を築くのは難しいでしょう。いまだに選手登録すら苦戦するほどクラブの状況はよくありません。約15年間依存しきっていたメッシが退団し、クラブが多額の負債を抱えているこの現状は我々が感じている以上に難しいものがあるはずです。

それでもシャビの持つカリスマ性やネームバリューは、復権を期す現在のチームにとっては必要で、シャビが監督をやっているから移籍してきた、またチームに残るという選手も多いはずです。ウスマン・デンベレ?誰ですかそれは。今のバルサの監督を引き受けてくれる人はそこまで多くないはず。

なのでまあ今のバルサのサッカーは面白くないので、なんでやねんって突っ込みを入れることも多々あるんですけど、次代に向けた過渡期だと思ってそこは長い目で見ようって思っています。僕はリオネル・メッシ信者なので、そりゃあんな選手が退団したらキツいっしょ理論をずっと引きずっています。

今季このままだときっついなあとは思っていますが、市場もまだ開いていますし、こんな時こそフェルミンやヤマルのような若手の台頭が楽しみでもあります。

 

最後は関係ない話になりましたが!久々にながーく書きました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。