Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 CL決勝トーナメント1回戦2ndレグ PSG対バルセロナ

こんにちは。前節オサスナとのアウェイマッチに勝利したバルサは、CL決勝トーナメント1回戦のリターンマッチを迎えます。

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3週間前のカンプノウでのゲームでは1-4と大敗を喫したバルセロナ。ベスト8進出のためには4-0以上の勝利が必要になります。非常に困難な目標ではありますが、不可能はありません。4シーズン前、0-4から2ndレグで大逆転勝ちをしたこともあります。奇しくも、相手はその時と同じパリ・サンジェルマン。今回も「奇跡」を祈りたいと思います。

 

スタメン

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ホームのPSGは1stレグから1名の先発変更。コロナ感染のキーンに代わり、ドラクスラーが先発となりました。攻撃の中心選手の1人であるディ・マリアは負傷から戻ってきたものの、この試合はベンチスタート。尚、ネイマールは1stレグに続いてこの古巣対決を欠場することになりました。

アウェイのバルサはリーガのオサスナ戦から2人の先発変更。純粋なCBはミンゲサとラングレのみですが、配置は気になるところです。また、このところ再び不調が囁かれるグリーズマンが先発。この試合で爆発してほしいものですね。

 

アグレッシブなバルサと曖昧なままにしたパリ

同数プレスで主導権

この試合の構図ははっきりしていました。突破するためにとにかく開始からフルスロットルのバルサと、守りつつ、カウンターで止めを刺したいPSG。両者の思惑が色濃く出たのが前半でした。

まずは注目されたのがバルサの守備。セビージャ2連戦では3-5-2の陣形をベースに同数ハイプレスで試合の主導権を握りました。しかし、この試合は3トップ。ピケもアラウホもいないので、フレンキ―をCBに落とさざるを得ませんでした。よってこの試合の中盤は2枚のみ。バルサはどのような形でPSGからボールの回収を目指したのでしょうか。

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バルサのハイプレス

答えは結局システムを無理矢理噛み合わせて同数でプレスをかけること。初期配置は噛み合っていないものの、グリーズマン(時々メッシ)がアンカーのパレデスの位置まで下がることで同数プレスを実現した格好です。

バルサの狙いはとにかく相手GKナバスにボールを下げさせ、長いボールを蹴らせること。この試合でも見せたような神がかり的なセービングがトレードマークのナバスですが、トップレベルのGKとしてはキックの質にやや難があります。さらにこの試合ではロングボールのターゲットになり得るモイーズ・キーンが欠場。アバウトなロングボールを蹴らせればバルサは回収できる確率が高い状況でした。

バルサはこのハイプレスを前半45分やりきり、主導権を握りました。メッシは多分ここ数年で1番守備してたんじゃないですかね。目の前の相手だけでなく、プレスバックも怠りませんでした。

特に最初の25分間は面白いように良い形でボールを奪い、オープンな攻撃に繋げました。特にブスケツのセカンドボール回収頻度が高く、二次攻撃、三次攻撃に繋がる場面は見られました。

やはりこのバルサボール奪取後のオープンな展開で活きたのがウスマン・デンベレ。セビージャとのリーグ戦でのゴールのように裏へのランニングで3度ほどチャンスを迎えます。

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デンベレの背後へのランニング

この試合ではメッシとグリーズマンがハーフスペースでプレーし、デンベレはCFのような位置から背後を取る動きが多かったです。特に目立ったのは大外のアルバにボールが入ったタイミングでRSBの背後のスペースへ斜めにランニング。これはバルサが前半を通じて狙っていた形で、シュートまで持っていけたのは素晴らしかったですね。

ただ、今日のデンベレは動き出しは完璧だったものの、シュートが当たらず。ナバスの好セーブという側面も勿論あるのですが、「奇跡」が必要だったこの試合に関しては1本くらい決めて欲しかったのが本音です。ここで点を取れなかったのがバルサからすると痛恨でした。

この試合の前半、バルサは15本シュートを放ちました。守備がある程度機能し、デンベレのCFもハマっていました。PSGのライン間が緩いこともあって、メッシやグリーズマンもある程度自由にハーフスペースでボールを受けてどうこうができていました。右サイドのデストも対面のクルザワに対して優位性を持っていたと思います。

それだけに前半の得点がメッシのゴラッソだけで終わってしまったのが悔やまれます。デンベレのシュートが1本でも入っていれば、デストのシュートがポストに当たっていなければ、メッシのPKが決まっていれば。タラレバは言ってはいけませんが、上手く運んでいただけにせめて2得点奪って後半に入りたかったですね。

敢えて曖昧にしていた?

さて、それに対するPSGのアプローチ。セビージャ戦は当然観ているはずなので、オープンな展開を嫌ってガッツリ裏のスペース消してくるかなとも思ったのですが、そうでもなかったです。かと言ってハイプレスをかけてくるわけでもなく。っちつかずのミドルプレスって感じがしました。そのため、若干間延びした陣形になっているのが特徴的でした。

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PSGボール非保持時

特に前半に関しては背後とライン間のスペースはバルサとしては使いやすかったなと思います。そして1stレグに比べるとエンバペは深い位置まで戻らず、左サイドの前のスペースに残っていることが多かったですね。

これはエンバペを下げて守備組織を強化するより、前に残してカウンターの急先鋒とした方がチームとしてメリットが大きいと判断してのことでしょう。実際エンバペのカウンターは同数ハイプレスが基本の今日のバルサには刺さりまくるので。

PSGとしては引いて守って点を獲られた時がやはり怖かったと思います。4年前のトラウマはあるでしょうし、守り切るというよりは止めを刺す構えも見せたかったというところで敢えて曖昧な姿勢でこの試合に臨んだのかもしれませんね。まあ、本当のところは分からないですけど笑。

バルサからすると、このPSGの曖昧な感じはどちらかというとプラスに働いたと思います。正直前がかりになる以上、エンバペのカウンターのリスクを負うのは仕方ありませんし、1失点までは想定内。どのみち4得点以上取らなけらばならない状況に変わりはありませんから。ミンゲサは気の毒でしたが、カードを貰った以上仕方ありませんでした。代わりに入ったジュニオルはよく仕事をこなしたと思います。

そして、エンバペが戻ってこないことでデストとクルザワの1対1の局面を労せず生み出せたのも前半バルサにとって良かったポイントでした。左だけではなく、右からもチャンスメイクできたのは大きかったですね。

 

勢いを削いだ5分間

前半はバルサ優勢で進んだゲームでしたが、依然としてバルサは3得点が必要な状況です。PSGは前半のうちにイエローカードを受け、PKを献上した左SBのクルザワを下げてディアロを投入します。

押され気味の前半を受けてPSGがラインを下げてくるかと思いきや、むしろ逆でPSGは後半開始と共にいきなりハイプレスをかけてきました。急にアグレッシブに来た!と思いきや、このプレスは約5分間で終了。この後は前半のような形に戻りました。

観戦中はよく分からなかったのですが、終わって振り返るとあの5分間のハイプレスはバルサの前半の勢いを削ぐ狙いがあったのだろうなと思います。

バルサからすると、前半終了間際のPK失敗は痛恨そのもの。突破するためには後半開始早々に得点したかったのが選手たちの本音でしょう。そこを挫くという意味でポチェッティーノは5分間だけハイプレスを課したのではないでしょうか。こういうところはちょっと嫌らしいですね笑。

たった5分なんですけど、この5分はかなりバルサにとって大きかったと思います。前半からフルスロットルでプレーしているバルサの選手たちは足が重くなってきます。普段のリーグ戦ではこれほどのインテンシティでプレーしないので無理もありません。

さらに、途中から入ってきた左SBのディアロの守備が厄介で、デストや途中出場のトリンコンはこの選手に対して優位性を持てず。クルザワ相手だったら望みはあったものの、ディアロ相手には完敗でした。結果、後半の攻撃はジョルディ・アルバ側に偏ることになります。

アルバのクロスは何度もチャンスになりかけますが、得点には至らず。PSGの2CB、特にマルキーニョスのパフォーマンスが傑出しており、良いところまで崩しても最後には彼が立ちはだかり、バルサの選手たちは良い形でフィニッシュできませんでした。

バルサ側の課題を1つ挙げると、クロスに対する選択肢の乏しさ。今日のクロスのターゲットはデンベレグリーズマンマルキーニョスやキンペンペとエリア内でバトルするには心もとないですよね。となると必然的にグラウンダーのクロスが多くなるわけですが、そこはわりとマルキーニョスに読まれてしまったなと思います。

今季のバルサはフレンキ―を2列目からエリア内に飛び込ませることでクロス攻撃を成立させてきました。パワーとスピードのある彼が後ろから飛び込むことで相手に脅威を与えることができます。しかし、今日の彼はCBとして重要なタスクを負っていたため、流石にエリア内まで入ってくることはできませんでした。

まさにフレンキ―が2人欲しいという感じですが、後半はデンベレがメンタル的にも体力的にも疲弊しきっていたので、早いタイミングでターゲットとなり得るブライスワイトを入れてメッシを活かすか、フレンキーを前に出す采配は必要だったかなと思います。

結局、後半は得点を奪えず。アグリゲートスコアは5-2でPSGがベスト8へコマを進めることになりました。

 

この2試合から何を学ぶのか?

残念でした。困難な目標だとは分かっていましたが、チャンスがあっただけに悔いは残りますね。せめてこの試合は勝ち切りたかったですし、その力がまだなかったことは悔しいですね。

ただ、この試合単体で見れば、バルサは良いゲームをしたと思います。勿論、リスクはありましたし、ピンチも招きました。しかし、今日のゲームは見た人が思わず応援したくなるようなそんなチームだったのではないかなと思います。結果としてチャンスを外し続けたのは反省材料ですが、チームの方向性としては何も間違っていませんでした。そこは誇れると思います。

糧にしなければならないのはやはり1stレグ。これだけの試合ができるにも関わらず、1戦目を消極的な姿勢で90分を終えてしまったことは、見直さなければなりません。クーマン体制1年目ですし、若い選手も多いので、ここから大いに学んでほしいなと思います。

やはりバルセロナというチームは攻撃的であるべきです。人によって「バルサらしさ」の定義は違うと思いますが、どのような形であっても攻守に渡ってアグレッシブさを忘れずにプレーするときこそ、良さが発揮されますね。勿論、完成形には程遠いですが、セビージャとの2連戦、このPSG戦でその片鱗は見せられたと思います。

あの2-8のバイエルン戦からまだ半年しか経っていません。まだまだバルサはこれからです。悔しさは残りますが、この経験を次に活かしてほしいですね。幸いなことにまだ今季は2つタイトルが残っています。リベンジの機会は今季中にやってきます。今季がより良いものになることを祈りましょう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。