Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第26節 オサスナ対バルセロナ

こんにちは。ミッドウィークの国王杯セビージャ戦で見事な逆転勝利を飾ったバルセロナオサスナの敵地に乗り込んでのゲームを迎えます。

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オサスナはここまで7勝7分け11敗。ここ5試合で3勝をあげるなど後半戦に入ってから調子を上げています。前半戦はバルサが4-0で勝利しているものの、昨季は1分1敗と負け越している相手です。CLの2ndレグを控えてはいますが、リーガも取りこぼす余裕はないので、ここは勝ち切りたいところですね。

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スタメン

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ホームのオサスナは勝利した前節アラベス戦から3人の先発変更。冬にアトレティコからレンタルで加入したマヌ・サンチェスがこのバルサ戦でスタメンにチョイスされました。3センターでくるかと思いましたが、2列目のアタッカーを3人起用してきたのはちょっとしたサプライズでした。アグレッシブな人選ですね。

一方のバルサ。PSG戦に向けてローテ―ションしてくることも予想されましたが、国王杯からの変更は離脱したピケと、セビージャ戦で足に違和感を覚えて途中交代したデンベレのみ。あとはセビージャ戦と変わらないメンバーとなりました。休息よりも新しい布陣の熟成を図ったという解釈でいいですかね。

 

オサスナの守備方針と省エネバルサ

バルサセビージャ2連戦から引き続き、3-5-2のシステムオサスナキケ・バルハをトップ下に置く4-2-3-1でスタートします。

ファーストハーフはオサスナバルサを上回るシュートを6本打ちました。先制したのはバルサだったものの、前半はややオサスナペースで試合が推移しました。今季のオサスナは4-1-4-1かCFを並べる4-4-2が基本ですが、恐らく今日の4-2-3-1はバルサ対策としてアラサテが打ち出したものではないでしょうか。

まずはオサスナのボール非保持時。この日のオサスナは引きっぱなしになることはなく、チャンスがあればDFラインにプレッシャーをかける構えを見せます。

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オサスナのプレス

オサスナのこの試合のキーマンはトップ下のキケ・バルハブスケツを監視しながら3バックにプレスをかける役割を与えられ、それを全うしました。本来はウイングの選手ですが、機動力を買われての起用だと思います。オサスナのプレス隊は彼とCFのカジェリ、左のルベン・ガルシアが担うことが多かったですね。右のロベルト・トーレスはアルバのケアがメインタスクになりました。

バルサはこの試合、本来3バックの真ん中を務めるピケが不在。ということで、ブスケツへのパスコースを遮断されるとわりと困ったことになります。ピケとブスケツの縦のラインは生命線ですから。ラングレもビルドアップは巧みですが、3バックの中央に置かれると右足の弱さが目立ってしまいます。

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右サイドに追い込まれると・・

前半何度かあったのが図のようなシチュエーション。右足で蹴るしかない!みたな状況だとちょっと厳しいですね。1本良いところに通したシーンがありましたが、それでもピケを真ん中に置いたときとは安定感でちょっと差が出てくるかなと思います。ボール出しの部分ではやはりピケの右に出るCBはいませんね

オサスナは第一プレッシャーラインを搔い潜られると、素早く帰陣。今度は4-4-1-1の陣形でコンパクトに守ります。

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オサスナ撤退時

とにかくオサスナの方針としては「中央はやらせない」こと。コンパクトな2ラインで中央のスペースを圧縮し、サイドに追いやることが狙いです。となるとバルサはサイドから如何に打開し、ニアゾーンへ侵入を図れるかどうかがカギを握ります。

しかし、これは悪い時のバルサあるあるですが、サイドの選手は孤立。アルバはロベルト・トーレスに厳しく監視されており、デストは単騎での仕掛けを余儀なくされました。特にデストはまだ周りと噛み合っていない印象が拭えず、パスのタイミングが合わなかったり、突破しても誰も中にいなかったりとちょっとやる気が空回りしている感がありました。

警戒されていたアルバが見事な抜け出しでゴールをゲットしましたが、これ以外で効果的な崩しはほとんどなく、あのワンチャンスを決めてくれたのは本当にありがたかったです。

この日、メッシのコンディションは悪そうで、エルチェ戦のような省エネモードのプレーが目立ちました。

良い時のバルサは引かれた時に、メッシがサイドに寄ってトライアングルを作りながら効果的な崩しを見せるのですが、メッシのエネルギーが足りないと途端に各選手のリンクが切れてしまうのが悩みの種です。

前半戦のアトレティコ戦でも保持時3-5-2っぽかったのですが、この試合でも引かれた時に、サイドの選手の孤立は目立ちました。

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あまりに上手くいかないので、クーマンは前半の途中(どのタイミングだったかはちょっと思い出せない)でいつもの4-3-3にシフトチェンジ。デストを右ウイング、ミンゲサを右SBにスライドさせる形で、ミンゲサに高い位置を取らせるようにしました。3バック時と比べて孤立感はなくなりましたが、ミンゲサとデストの息があまり合ってなかったのでなんだかなという感じでした笑。

 

噛み合わせズラし

恐らくPSG戦に向けた最終確認という意味でこの試合も3-5-2で試合に入ったと思うのですが、オサスナ相手にはあまり有効な一手ではありませんでした。

この3-5-2の肝は噛み合わせを活かした同数プレス。「メッシという特殊な存在を抱えたまま、前から相手にプレッシャーをかけてボールを奪いに行く」ということを可能にした点で対セビージャでは効果的でした。

しかしこの試合では、主に2つの理由で機能しなかったと思われます。

1つはシンプルな疲労。セビージャとの2連戦で消耗した選手たちは、この試合身体が重そうで前からプレッシャーをかけられるだけのコンディションではありませんでした。後方にピケがいないのも相まって、前からのプレッシャーはちょっと及び腰だったのかなと思います。特にメッシが重そうでした。

もう1つはオサスナの監督のアラサテがこのバルサの3-5-2に対してきっちり準備してきたこと。

初期配置を考えると、オサスナの4-2-3-1とバルサの3-5-2は綺麗にシステムが噛み合うように見えます

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一見噛み合う

しかし、ここから噛み合わせを逆手に取ってズレを生み出すのがオサスナの狙いでした。

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オサスナの噛み合わせズラし

まずはSB。右のナチョ・ビダルは低い位置に留まっていることが多く、左のマヌは内側でのプレーを好むタイプです。彼らが上図のような立ち位置になるとバルサの両WBは途端に非保持時の立ち位置に困ることになります。彼らにつくべきか自身のスペースを守るべきか。しかも今日はセビージャ戦に比べると全体が重かったので尚更判断は難しくなります。ここでマークが確実にズレますね。

オサスナの両サイドハーフは内側にボールを受けに行く動きを見せます。これによりバルサの両HV(ミンゲサ&ウムティティ)を引っ張り出し、空いたスペースにトップ下のキケ・バルハを走りこませるのが最大の狙いです。バルハのスピードであれば、ブスケツを振り切って抜け出すのは容易です。

この噛み合わせのズレを狙ったからこそ、マヌ・サンチェスのスタメン抜擢とキケ・バルハのトップ下起用だったのだと僕は解釈しています。守備が不安なマヌをバルサ戦にスタメンで起用するのは大胆だと思いましたが、こういう意図であればかなり理に叶っています。

キケ・バルハは攻守ともにブスケツを機動力で凌駕し、バルサを本当に苦しめました。ウイングではなく、トップ下に置くことで彼のランニングが大いに活きましたね。ただ、タスク量が多すぎて60分過ぎでベンチに下がったのはバルサからするとラッキーでした。

そんなこんなでバルサは人につくんだか、スペースを守りたいんだか分からないまま、前半が推移していったという感じですね。途中から4-3-3にしてからは完全にミドルゾーンでのブロックに切り替えた感がありました。メッシ中央4-3-3だとプレッシャーをかけるのは難しいというのはクーマン&スロイデルの本音でしょうし、今日みたいにきっちり対策を打たれると、マンマーク戦術はわりと脆いなという印象はあります。

バルサの現在のスカッド的に選択肢は多くないので、まあ仕方ないんですけど、今のご時世さっさと分析されて対策打たれるので、対策の対策も考えておかないとなという感じです。

ただ、この過密日程の中でなかなか練習で戦術を落とし込む時間ないんだろうなあという点ではクーマンに限らず、コロナ禍の監督には同情を禁じ得ないですね。

まあ今日は4-3-3に変えても全然上手く行かなかったので、戦術どうこうってよりもオサスナの出来の良さと選手たちのコンディションの部分が大きそうですね。少なからずPSG戦を意識してたってのはありそうです。

 

試合雑感

中身はなんだかなあという感じの試合でしたが、勝ち点3はとにかくポジティブに捉えたいなと思います。

オサスナの出来は素晴らしかったですね。好調のチームだけに自信を持ってプレーに臨んでいる様子が窺えました。ぶっちゃけバルサの先制点はメッシとアルバがスーパーですし、モリバの得点が入るまでは同点に追い付かれてもおかしくはない試合内容だったと思います。

そのモリバの得点は非常に印象的です。エリア手前でボールを受けると、キックフェイントで逆足の左足に持ち替えてのミドルシュート。これは嬉しかったですね。今季、バルサの中盤の選手のミドルでのゴールってありましたっけ?ブスケツが1回あったかなってくらいだと思うので、余計に嬉しいモリバの初ゴールでした。

この試合でもリキやピャニッチを差し置いて真っ先に中盤に投入されたあたり、クーマンの信頼はかなり獲得しているようですね。もしかすると位置づけとしては中盤の4番手なのかもしれません。今のバルサにはいないタイプなので、ここから重要な戦力になってくれそうですね。

また素晴らしかったのはミンゲサ。この選手は今季本当に良くやっています。誰も期待していなかった存在から、今季の守備陣にいなくてはならない選手になりました。やはり3バックの右が最もやり易そうで、持ち前の前で潰す守備やドリブルでの持ち運びが光っています。

あとは最早驚きもしませんが、あっさりオサスナの決定機を防いだテア・シュテーゲンのセービングも賞賛に値します。

反対にまたしても立場が苦しくなりそうな予感がするのはグリーズマン。今後のチームの方針次第ではあるのですが。彼についてはまた別で書きたいと思います。

さて、次はPSGとの2ndレグ。突破するためには敵地で4-0以上の勝利が必要であるため、厳しいミッションにはなります。ただ、サッカーに不可能はありません。3点差くらいあっさり覆されることは誰よりもバルサファンが知っているはずです。信じて応援するしかありませんね。セビージャ戦のような姿勢で臨めば、希望はあるはずです。

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ポジティブな気持ちで応援しましょう!

 

 

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