Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】19-20 ラ・リーガ第5節 グラナダ対バルセロナ

はいはい、皆さんこんにちは。バレンシア戦のマニータ勝利からミッドウィークのドルトムント戦を挟んで、今節はアウェイで昇格組のグラナダと対戦します。グラナダはスタートダッシュに成功し、ここまで4試合で勝ち点7を獲得。バルサは今季アウェイ初勝利を挙げることができるでしょうか。

怪我人が徐々に戻ってきており、チームとしての状態も上向きに傾きつつあるバルセロナですが、依然として不安は尽きない状況です。中でもCLドルトムント戦で負傷退場したアルバ抜きの左サイドの攻撃はどこまで機能するのか。注目が集まります。
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◾︎スタメン

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ホームのグラナダは4-2-3-1。左サイドバックのアレックス・マルティネスが負傷により欠場。下部組織出身のネヴァがプリメーラデビューを果たします。最前線には懐かしのFW、34歳のソルダードが入ります。ベンチにはゴナロンやアドリアン・ラモスなど経験豊富な選手が控えます。

一方のバルセロナはCLドルトムント戦から4人のスタメン変更に。ジュニオルとラキティッチは今シーズン初先発。フレンキーがアンカーのポジションに入ります。そしてCLでは出場機会のなかったペレスが先発に戻ってきました。

◾︎前半

あまり早すぎる先制パンチ

試合開始はグラナダのキックオフ。開始直後からプレスを激しくかけ、グラナダにロングボールを蹴らせます。今季アウェイで未だ勝利がないということで開始から積極的にいきましたね。しかし、開始わずか1分でいきなりビハインドを負うことになりました。

1分、スアレスとインテリオール2枚がグラナダDFラインにプレッシャーをかけ、GKに下げさせます。さらにGKにはラキティッチがプレスをかけ、ロングボールを蹴らせます。これをプエルタスとラングレが競り合い、ボールは後方のジュニオルの元へ。ジュニオルは余裕を持って処理しようとしましたが、上手く処理できずソルダードに入れ替わられてしまいます。右サイドのプエルタスにスルーパスが出ると、ピケが対応しますがクロスのディフレクションが中のアジーズの元へ通り、先制点を献上してしまいます。

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失点シーン直前 フレンキ―の周囲が

まあこれはジュニオルの明らかなミスでしたね。初先発で硬くなっていたところもあるのでしょうが、できれば避けたいエラーではありました。ただここで気になったのはバルサのプレス。インテリオールの2人が前線へのプレスに参加しているため、フレンキ―の周囲がかなり手薄になっていました。

フレンキ―の両脇にアジーズとモントーロが配置しており、ここに仮に落とされたとすると、ジュニオルのミスがなくとも危ないシーンは作られていたかもしれませんね。この辺の4-1-4-1でのプレス設計はまだそこまでチームに浸透していないのだと思うのでここからの課題ですかね。

芝と配置とグラナダの守備と

さて、反撃したいバルセロナはいつものように後方からパスを回そうと試みますが、ここで障害となったのはグラナダのホームスタジアムの芝の長さ。バルサ対策の一環として芝を長めに刈っておくというのはよくあることですが、これにはかなり苦しめられました。

普段よりもパススピードが上がらないことでグラナダの守備をあまり効果的に動かすことができず、相手に楽にプレスをさせてしまった印象を受けました。ということでなかなか前線に効果的なパスが出てきません。

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安全なスペースと危険なスペース

バルサのボール保持。グラナダは図のような4-4-2もしくは4-1-4-1のような形でセットして守ります。この図では敵陣を2色で色分けしてみました。オレンジが(グラナダにとって)安全なスペース 、青が危険なスペースだと考えてください。パフォーマンスが悪いときのバルセロナは大抵青のスペースにボールが入らず、オレンジのスペースで漫然とボールを回しているだけの状況になってしまっています。

このようになるとポゼッション率は上がるものの、相手守備陣からするとあまり怖くないボール保持なんですよね。ボールが転がりにくいこともあり、特にライン間になかなかボールが入りませんでした。ラキティッチやセルジ・ロベルトはライン間でどうこうできる選手ではありませんし。

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前半7分のシーン

この試合初めてインテリオールがライン間でボールを受けたシーン。ラングレからセルジ・ロベルトがパスを受けます。セルジ・ロベルトはすぐさま右サイドのペレスにパスを送ります。ここまでは良い形です。

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ピボーテが危ないスペースを消す意識

しかしペレスのクロスは右ピボーテのエレーラにカットされます。グラナダはこのマイナス方向のクロスに対する意識は試合を通してかなり強かったところはあります。前半は何度かペレスとセルジ・ロベルト、セメドの連携からチャンネルを突くシーンもありましたが、クロスはことごとくカットされてしまいました。

この辺りはかなりバルサは研究されていましたね。中盤の選手たちの帰陣が早いのでゴール前へのクロスにあまり怖さは出ませんでした。最近のバルサ対策としてDFラインンにハイプレスをかけるのではなく、ミドルプレスをメインにバルサの自由を奪おう!というチームはますます増えていると感じます。

個人的にはこういう試合ではもう少し裏のスペースを意識してもいいのでは?と考えています。グリーズマンスアレスは何度かラインブレイクの動きを見せていましたし、グラナダの守備陣形を間延びさせる上でももう少し球足の長いボールを前線に送り込んでもいいかと思いました。

また配置の上でも気になるところが。

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先ほど使用した図ですが、今シーズンのバルサはボール保持時、このような形になっていることが多くなっています。ウイングが外、SBがやや後方、インテリオールがハーフスペースに位置します。しかし、左サイドにおいてこの配置はあまり上手くいっていないように思われました。

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こっちの方が・・

例えば、各選手の特性を考えるとこのような配置のほうが上手くいきそうですよね。昨シーズンと同じ形です。まあグリースマンが流動的にやりたいタイプなので、上手くラキティッチやジュニオルとタイミングよくポジションチェンジできればそれが理想ですが、両者ともあまりそういったプレーができていなかったので、こちらのほうがベターかなと。ジュニオルももっと高い位置を取れれば、自分のプレーができたかもしれませんし。

そのあたりはバルベルデも選手たちもまだ手探り状態なのかもしれませんね。この試合はメンバーも入れ替わっただけに尚更その印象を受けました。

前半はバルサはいいところなく、1点ビハインドで終了。枠内シュートはなんと0。後半の巻き返しに期待がかかります。

◾︎後半

孤立するアンス、制限されたグリーズマン

ハーフタイムに僕はこんなツイートをしていました。

あまりボールが転がらず、落ち着かない中でドリブルである程度運ぶことのできるアルトゥールの投入を僕は推していましたが、実際のバルベルデの采配は、ジュニオルを下げてアンス、ペレスを下げてメッシを投入するというものでした。

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4-2-3-1

アタッカーを4枚並べる4-2-3-1ですね。昨シーズンも得点が欲しい試合の後半から何度か使われている布陣です。出来の悪かったスアレスを外すべきでは?という批判も見られましたが、恐らく点を取りに行くという状況でCFを下げるという選択はできなかったのでしょう。

中盤のラキティッチとフレンキ―には負担がかかってしまいましたが、アタッカーを4枚並べたことで単純に得点の匂いは増すようになりました。メッシの存在はやはりどのチームにとっても怖いものがありますよね。

しかし、ここでもやはり問題が出てきました。まずは左サイドのアンス。

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アンスの孤立

アンスが左サイドの高い位置でボールを持った時、このような状況になっていることが非常に多かったです。セメドもラキティッチもバランスを意識してか、それとも指示があったのか後方で傍観していることが多く、アンスが1人で2人を相手にしなくてはいけないシーンが目立ちました。何度か良い突破もありましたが、中々難しいプレーを強いられましたね。

厳しい状況に追い込まれたのは右サイドのグリーズマンも同じでした。中央にメッシとスアレスが陣取っていることで右サイドに張り付くことを強いられ、窮屈なプレーになってしまっていました。グリーズマンは突破力のあるタイプではありませんし、サイドのレーンでプレーさせ続けるのはあまり得策ではないなと。正直ペレスの方が機能していたと思います。

ということで、この4枚のアタッカー同時起用はあまり機能したとは言い難いですね。

よく分からなかったビダル投入

この状況を受け、バルベルデは早くも3枚目のカードを準備。後半16分にラキティッチに替えてビダルを投入します。同ポジションの交代ですね。

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しかしこの交代が思わぬ形で裏目に出てしまいます。ビダル投入直後、右サイドの高い位置でグラナダにFKが与えられます。このFKをビダルが腕に当ててしまい、PKを献上してしまいます。これを交代出場のバディージョがきっちりと決め、点差が開いてしまいました。VARのある時代においてはかなり軽率なプレーでしたね。バルサのPK献上は今シーズン早くも3つ目です。

流石にこのミスは予測できなかったのでバルベルデは責められませんが、正直このミス以外の部分で、なぜビダルを投入したのか正直意図が読めないところではありました。僕がピッチサイドに立つビダルを見て期待したのは2つ。

  1. 前線に頻繁に上がり、ロングボール・クロスボールのターゲットになる
  2. 左サイドのチャンネルを駆け上がり、アンスをサポート

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例えばこんなプレー

このようなプレーで前線に厚みをもたらしてくれることを期待していましたが、実際はそうではなく、中盤でのプレーが多くなっていました。このような役割であれば、冒頭でも述べたようにアルトゥールの方が適任だったのではないでしょうか。

案の定、崩しの手詰まり感は解消されず、バルサはなかなかシュートすら打たせてもらえません。頼みのメッシもまだアクセル全開とはいかず。ここまでほとんど言及していないスアレスは本当に言及するところがないほど消えていました。グラナダ守備陣も最後まで集中を切らさず、バルサのアタッカー陣に好き勝手やらせませんでした。こうして試合はこのままタイムアップ。グラナダのチーム、ファンが共に大喜びしている姿がとても印象的でした。

 

◾︎雑感

リーガ3連覇への道程は相当厳しいですね。前節5得点を奪って勝利したチームとは思えないほど、上手くいきませんでした。今シーズンは過渡期だと思っています。もう少し長い目でみていきたいところです。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。