Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチレビュー】23-24 ラ・リーガ第3節 ビジャレアル対バルセロナ

こんにちは。Hikotaです。

前節、苦戦を強いられたものの80分過ぎのペドリの決勝ゴールでカディスを制したバルサ。その殊勲のペドリの負傷が発表され、開幕早々2人の主力を失うことになりました。

www.footballhikota.com

今節は強豪ビジャレアルとの一戦。ヘタフェ戦、カディス戦とは違う展開になりそうです。

 

相手チーム状況

昨季5位のビジャレアル。『Transfermarkt』によると今夏はリーガで最も売却益を出したクラブです。ニコラス・ジャクソン、サムエル・チュクウェーゼ、パウ・トーレスの主力級を売却し、合わせて1億€超の収益を得ました。ちなみに2番目はバルセロナデンベレの売却(全額クラブに入ったわけではないけど)やグリーズマンの買い取りで9800万€ほど売り上げたことになっています。そんな感じ全然しません。

しかしながらビジャレアルは今夏補強に費やした額はここまで僅か1250万€。ソシエダからスルロット、セルタからデニス・スアレス、ラージョからコメサーニャなど実力者は確保しているものの、昨季からの戦力ダウン感は否めません。今夏340万€しか使っていないクラブのファンが言えることじゃないですけどね。

ビジャレアルと言えば、21-22シーズンのCLでベスト4に進出したクラブです。そのレベルのクラブでも財政的に苦戦を強いられているあたりに、ラ・リーガ全体の苦しさが表れています。

そんなビジャレアルは開幕1勝1敗スタート。開幕戦はホームでアディショナルタイムに決勝弾を浴びてベティスに敗戦。続く2節はアウェイでマジョルカに1-0で勝利しています。

 

スタメン

ホームのビジャレアル。前節からの変更は、ディアス→キャプー。マジョルカ戦のメンバーからアタッカーを1枚削って中盤の枚数を増やした格好です。開幕2戦を欠場したスペイン代表のジェレミーピノもベンチに戻ってきています。

一方のバルセロナは、2名の変更。長期離脱となったペドリと足を痛めたとの報道があったバルデに代わってセルジ・ロベルト、マルコス・アロンソの両ベテランがチョイスされました。ラフィーニャが引き続きサスペンションにより欠場。主力中の主力であるアラウホ、ペドリは負傷のため復帰は9月中旬以降になる見込みです。第2GKのイニャキ・ペーニャは依然として登録待ちです。

 

試合内容

主導権を握ったビジャレアル

4-3の打ち合いとなったこのゲーム。最初にゲームの主導権を握ったのはビジャレアル。ショートパスを主体としたビルドアップと左サイドを中心とした速攻でバルサゴールを脅かします。

カギになったのはアレックス・バエナ。左ウイングを定位置にしながらボール保持時はインテリオール化する所謂「偽WG」のタスクを得ます。これはバルサのガビの左ウイング起用と同じ構造で、似た者同士の対戦となったわけです。

ビジャレアルボール保持構造

ビジャレアルのボール保持のイメージはこんな感じ。両ウイングがワイドに張らず、両サイドバック共に高い位置を取らないので中盤より前の選手たちが内側の3レーンに混在します。一見すると渋滞しそうに見えますが、ここで重要なのがバエナフリーロールで的確な位置に立ち続けるので、バルサの選手は掴まえるのに苦心します。バルベルデとの例の一件で有名になった彼ですが、素晴らしい選手です。9月のA代表、呼ばれると思います。

もう1人の重要な人物がスルロットで、彼が徒に中盤に下がってくることなくラインブレイクに専念しているのもバルサにとっては嫌らしいポイント。オフサイド判定に救われましたが、序盤綺麗に裏を取られたこともあってバルサの2CBの意識はどうしてもスルロットの背後への飛び出しに集中します。

結果として数で劣る中盤で後手に回ってしまったバルサプレッシングが機能せず、ショートカウンターもハマりません

そして最後の脅威が左SBのペドラサ。最初から高い位置は取ってきませんが、右サイドからの展開でスペースと時間を得ると持ち前のスピードとパワーで左サイドを独走。対面のセルジ・ロベルトは完全に後手に回り、左サイドはやられたい放題でした。セルジ・ロベルトはシャビにかなり怒られたようです。

対面のバエナがフリーロール化し、縦関係の相方が16歳のヤマルだったというエクスキューズはあるものの、セルジ・ロベルトのSB起用は最早厳しいように思います。組織的な守備は必ずしも苦手ではないです。バルベルデ時代の綺麗な4-4ブロックの時は上手くやれていましたが、よりデュエルを重視するモダンサッカーにおいては1対1の弱さは致命的。空中戦・地上戦ともにこれといった武器もないのでシャビバルサのSBはちょっと務まらないなという印象です。

セルジ・ロベルトの逆サイドのマルコス・アロンソがそれほど悪目立ちしなかったのは、ビジャレアルがほとんど右サイドの幅を使ってこなかったからでしょう。チュクウェーゼの退団の影響なのかどうかは分かりませんが、ちょっと勿体ない感じはしました。マジョルカ戦でもあまり右サイドの幅使っていませんでした。セティエン、バルサ時代を経て中途半端にリアリストになってしまった感があります。

質を見せたヤマルと必然の3失点

さて、ビジャレアルの攻勢を許してしまったバルサ。試合を見ながら非保持の解決策を考えてみましたが、これといったものは思いつかず。3バックにして嚙み合わせをよくしながら迎撃するプランを考えましたが、このメンバーでペドラサについていけそうな選手がいなかったのでなんだかなあという感じです。全部ラフィーニャの肘のせいです。

【没案】根性マンマーク3-5-2作戦

なのでぶっちゃけペドラサとバエナに蹂躙されるのはもう確定事項だったとして、この試合のバルサが守り勝つのは想定できなかったです。アラウホもバルデもいなくて、クリステンセンも結果として45分でギブアップだったので。打ち合って勝つが唯一の勝ち筋だったと思います。

それが達成できた大きな要因は苦しい展開で2点を先行できたこと。要するにラミン・ヤマル様様なわけです。この試合でも怪物ぶりを見せつけたヤマル。値千金の先制点をもたらした高精度のファーサイドへのクロス。16歳のクロスを19歳が頭で叩き込みました。ガビの3歳下って若すぎて感覚おかしくなりそうです。

理不尽な16歳のプレーで1点を失ったビジャレアルのショックにつけこんでぽっかり空いた中央のスペースに走りこんだフレンキー・デ・ヨングの追加点バルサが2点のリード。展開的にはかなり嬉しい2得点となりました。

ただ、この2点ではビジャレアルの勢いを削ぐには不十分でした。セットプレーで1点返されると、ペドラサ劇場の開幕。左サイドを良いようにプレーされ、ペドラサのアシストからスルロットが決め、前半の内にビジャレアルが同点に追いつきます。後半に入ってもペドラサの勢いは止まらず。50分に再び左サイドを駆け上がるとバエナへラストパス。絶妙なショットがテアシュテーゲンを破ってビジャレアルが逆転に成功しました。

2-0からの2-3なので、バルサ側からするとショッキングな展開ですが試合展開を考えると妥当なスコアであったと思います。むしろバルサ側の2点が望外だったと思いますし、返す返すこの2点が最終スコアに響いたわけで...。

明暗を分けた交代カード

打ち合いとなったこの1戦でしたが、両者の明暗を分けたのは交代カード。シャビが、最初に選んだのはフェラン・トーレス。前節カディス戦でも途中出場からゴールを決めている彼がこの試合ではファーストチョイスになりました。

そのフェランは投入から5分で期待に応えます。エリア内のカビに一旦ボールを預けて自身もエリア内へ。リターンを受け取ると右足でボレーシュート。これはDFに当たりますが、足を止めなかったフェランの足元にボールは零れ、左足を一閃。これが決まりバルサが同点に追いつきます。

今季のフェランはモチベーションの面で昨季と全く違います。今季は「やってやるぞ」という気概に満ち溢れ、貪欲に結果に拘るハンターと化しました。PKを外して泣いていたかつての彼の姿はどこにも見えません。人って変わるんだなあとしみじみ思います。

メンタリティが違うと言えば、ヤマルとガビもそうです。ビハインドで苦しい展開においてチームを牽引したのはフェランと彼ら2人でした。特にヤマルは凄まじく、逆転されてからも個人技で相手をかわし、シュートを放ち、プレーでチームを鼓舞しました。これは16歳にとって簡単なことではないでしょう。

昔、シャビがバルサ時代のネイマールのことを「苦しい時こそボールを要求してチームを引っ張ってくれる存在」と評していました。ヤマルはまさにそんな存在ではないでしょうか。プレーヤーとしてもメッシよりもネイマールに近いような気もしますし。これからどう成長していくか楽しみです。

ついついヤマルの話ばかりしてしまいますね。話を戻しましょう。追い付かれたセティエン監督は3枚替え。ダイナミズムを失いつつあった中盤にエネルギーを取り戻すべく、コメサーニャとデニス・スアレスを中央に、右サイドにバルサから移籍したイリアスを投入します。

しかし、直後逆転に成功したのはバルサ。ヤマルのカットインシュートはポストに弾かれますが、こぼれ球はレバンドフスキの眼前へ。エースが押し込み4点目

ホームのビジャレアルは最低でも勝ち点1が欲しい所。デニス・スアレスが孤軍奮闘するも、チーム全体のインテンシティが落ち切ってしまい沈黙バルサがロングカウンターのチャンスをフイにし続けたので危なっかしくはありましたが、1点リードを守り切りタイムアップ。シーソーゲームを制したバルセロナが連勝を飾りました。

 

雑感

2-0から2-3、そして4-3。見る方はハラハラドキドキの一戦でしたが、アウェイでビジャレアル相手の勝ち点3はポジティブです。打ち合いになってしまいましたが、守備陣にケガ人が出てしまったので致し方ない部分は大きいです。2人ケガすると両ラテラルにセルジ・ロベルト、マルコス・アロンソの両ベテランが登場することになるのでなかなかシビアな選手層ではあります。

これは何かの記事で書きましたが、今季のバルサは昨季ほどの失点数を保てないと思うので、このような打ち合いの試合は増えると予想しています。攻め勝てるチームを作れるか?というのがシャビバルサの今季のテーマになってきそうです。

ビジャレアルは中盤の質が高く、前半はかなり制圧されてしまいました。パレホ、テラッツ、バエナはボールプレーに優れ、キャプーは持ち前のフィジカル能力を存分に発揮しながらバランスを保っていました。ただ、記事内で言及したように最後は選手層の部分でビジャレアル側にも課題が見えたなという印象です。残り期間での補強は現実的なのでしょうか。

バルサ側でちょっと気になった部分としては左サイドのメカニズムで、この試合はバルデ不在でした。なので左サイドはアブデを起用して幅取り役させると予想していましたが、実際はガビを左ウイングで起用していつもの4MFシステムになりました。

まあガビやギュンドアンをベンチに置いてでもアブデやアンスを使うのかと言われれば微妙なところではあるので、ここは難しいですね。ただ、案の定左サイドの盤面が詰まってしまった感は否めませんでした。カディスやヘタフェに比べるとビジャレアルは前から奪いにきましたし、ビルドアップの機能不全感は垣間見えました。

そのような状況で頼もしかったのはやはりフレンキー。単独でボールを前進させられる彼の貢献は絶大でした。ブスケツに代わる新たな中盤の主としてチームの顔となりましたね。素晴らしいパフォーマンスです。

そのフレンキーを引き立てているのが新加入のロメウ。彼を3列目から「解放」できるのは彼が中盤の底でブスケツ役を演じてくれている故です。クオリティは流石に前任者には及びませんが、彼の貢献度は想定よりもずっと高かったです。

さて、次節はアウェイでオサスナ戦。その後はインターナショナルブレイクに入ります。オサスナは開幕3戦で勝ち点6と好スタートを切っています。油断ならない相手ですが、しっかり勝ち点3を奪って代表戦に突入したいところですね。

その前にCLグループステージ抽選会もあります。今季の命運を占う大事なイベントです。今季こそはグループステージは抜けたいです!

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。