こんにちは。Hikotaです。フェルミンの2031年までの契約延長、めでたいですね。昨夏の移籍騒動を乗り越え、すっかり主力になりました。
試合背景
ホームのバルセロナは国王杯のアルバセテ戦から中3日でこのゲームを迎えます。前半戦は苦しんだ時期もありましたが、直近17試合で16勝1敗と好調を維持しています。ただ、リーガでは依然として2位マドリーが勝ち点差1でぴったりつけているだけに、ホームで勝ち点を落とす余裕はない状況となります。
一方のマジョルカは今季6勝6分10敗で14位。降格ラインの18位ラージョとの勝ち点差は僅か2であり、残留争いに巻き込まれています。昨夏バルサから移籍したパブロ・トーレは定位置確保に苦しんでいるようで、反対にバルサBから加入したウインガーのヴィルヒリはレギュラーの座を手中に収めつつあります。
両チームの前回対戦は今季の開幕戦。前半の内にマジョルカのモルラネス、ムリキが退場処分になり、数的有利のバルサが3-0で勝利しています。
スタメン

バルセロナ
国王杯のアルバセテ戦から4名の先発メンバー変更。カップ戦ではローテーションで先発メンバーから外れたクバルシ、クンデ、バルデ、フェルミンがスターターに戻ってきました。ピボーテにはフレンキーではなく、国王杯ではスタメンから外れたカサドがチョイスされます。
欠場者はクリステンセン、ガビ、ペドリ、ラフィーニャ。ラフィーニャはこのゲームにも間に合わず。長期離脱中のガビはグループトレーニングへの復帰が間近なようです。
マジョルカ
先週のセビージャ戦から2名の変更。浅野とダルデルに代わって、モレイとパブロ・トーレが先発にチョイスされます。エースのムリキは今季15ゴールで得点ランキング2位につけています。注目のヴィルヒリは年明けの6試合中5試合で先発を飾ることになりました。
欠場者は、アブドンと浅野拓磨。浅野は前節は先発でプレーしたものの、再び負傷してしまったようですね。
試合展開
前半
前節セビージャ相手に4-1の大勝をおさめたマジョルカですが、このゲームでは対バルサ仕様の振る舞いに変更してきました。いつもの4-2-3-1ではなく、この日は5バックに変更。ハイプレスを控え、スペースを埋めることに重きを置きます。

特徴的なのは5−4−1の「4」の両サイドの振る舞いで、左右で非保持のタスクが異なります。
右サイドのサム・コスタは通常中盤の選手で、基本は内側のレーンを締めることを優先。左ボランチのパブロ・トーレがカサドへアプローチに出ていく傾向があったため、アンカー役のマスカレルの脇のスペース埋める意識が強かったように思います。
反対に左サイドのヴィルヒリはウインガータイプ。立ち上がりは2トップの一角のようにも見えましたが、時間が経つにつれて左サイドのケアに回るようになりました。目的は無論、ヤマルへのケアでしょう。モヒカをダブルチームでサポートする姿勢を見せました。
このような左右非対称の振る舞いで、マジョルカは右〜真ん中のレーンをきっちりと封鎖。バルサの強みであるヤマルと中央でのコンビネーションプレーを遮断することを意図します。まさにヤマルシフトですね。一方で、左からの侵入のリスクはある程度許容している形です。
アルバセテ戦のレビューで書いた通り、ここ最近のバルサの攻撃ルートはヤマルに偏ってしまう傾向がありますが、このゲームでは上記のようなマジョルカのアプローチによって珍しく左サイドにボールが集まるようになります。
この状況で目立ったのがラッシュフォード。足元でボールを受けると、左サイドからのカットインシュートをメインにゴールを脅かすプレーを連発。ヤマルやフェルミンが封じられている中で、比較的マークが緩いこともありましたが、求められるいい仕事を見せていたと思います。
先制点も彼のカットインシュートからでした。29分、ラッシュフォードが左からカットインで内側に侵入すると、強烈なシュート。これが相手DFとオルモに当たってレバンドフスキの足元へ。背番号9は冷静に相手を外しシュートコースを作ってゴールへ流し込み、チームに先制点をもたらします。
レバンドフスキはこのプレーまでほとんどボールタッチがなかったのですが、あまりに冷静でしたね。あそこでバタバタせずに冷静にフィニッシュまで持っていけるのは流石の一言。フェランもまだ学ぶべきことありそうです。
ただ、マジョルカからすると、失点は1に抑えた上にローブロックからのヴィルヒリのロングカウンター作戦が刺さっていたので、前半25分までのいくつかあったチャンスで先制できていれば...の思いはあるでしょう。スペースを得たヴィルヒリの突破力は凄まじく、バルサは何度かやられかけましたが最後のクオリティは足りませんでしたね。
許容されたリスクから得点を奪ったバルセロナが1点のリードで前半を終えることになりました。
後半
後半からの両チームの交代は無し。マジョルカ側は前半のラッシュフォードの躍動を受け、右サイドの非保持のスタンスを微調整。前半は右WBだったモレイが右SH、右CBだったマフェオが右SBを意識した立ち位置になり、ラッシュフォードに対してもダブルチームの構えを見せます。

ここで鍵になったのはバルサの左SBのバルデのサポート。前半はラッシュフォードの独壇場でしたが、ダブルチームで単騎突破が難しくなった状況を受けて、バルデがラッシュフォードと近い距離でプレーするようになりました。バルデは内側のレーンを取ってボールを受けることで、マジョルカの守備を攪乱。バルサはこの微調整により、マジョルカの意図したダブルチーム対応を分解することに成功します。
バルサは61分に左コーナーキックからショートで始め、エリア手前でボールを受けたヤマルがゴラッソを沈めますが、この左コーナーを奪ったのはまさにラッシュフォードとバルデの連携から。外側でボールを受けたバルデが中にドリブルすると、それに呼応してラッシュフォードが外のレーンに移動。外で受けたラッシュフォードが縦に突破して奪ったCKからヤマルのゴラッソが生まれました。
バルデはバルサの中ではどちらかと言うと相手を見てプレーするのが苦手なタイプであり、勿論コーチ陣からの指示もあるのでしょうが、このゲームでは適切なプレーが目立ち成長を感じました。CLのコペンハーゲン戦で後半盛り返した要因は彼のドリブルでしたし、チームにとっての重要度は増すばかりですね。
マジョルカは失点直後に3枚替え。ダルデル、ジョセフ、アントニオ・サンチェスを投入します。これは失点前に準備していた交代だったので、恐らく当初のプランでは60分過ぎにギアを上げて得点を狙いに行く意図だったのでしょう。そういった意味でヤマルのゴラッソはマジョルカのプランを狂わせる一発でした。
バルサ側は67分にオルモとラッシュフォードを下げて、ベルナルとフェランを投入。フェランは久しぶりの「本職」復帰となりました。最早自認がストライカーなので、ウインガーとしての自我はなさそうですが(笑)

マジョルカは前半に比べると、ほとんどカウンターが撃てません。60分過ぎに下がらざるを得なかったヴィルヒリのエネルギーが切れてしまったのもありますし、起点となる相手のエースのムリキにクバルシがよく対応していたと思います。フィジカル勝負では分が悪いですが、予測と準備で未然にカウンターの芽を摘むのは彼の得意とする所です。
打つ手のないマジョルカは77分にサム・コスタとムリキを下げてモルラネスとジャブレスを投入。アブドンと浅野が不在なこともあり、流石に前線の駒不足感は否めません。バルサも直後に2枚替え。ヤマルとレバンドフスキを下げ、ルーニーとカンセロを投入します。ルーニーは4試合ぶりの出場になりました。カンセロは左WGに入ります。

追いすがりたいマジョルカをバルサが突き放したのは83分のことでした。マジョルカのプレスを自陣深くで掻い潜るとセンターサークル付近のフェルミンへボールが入ります。浅いラインの背後にスルーパスを出すと抜け出したのは途中出場のベルナル。左利きの大器は懸命に追いかけてきたマフェオをボックス内で華麗なステップでかわすと、低い弾道のシュート。これが相手DFに当たってニアに吸い込まれ、ベルナルにトップチーム初ゴールが生まれます。
素晴らしいフィニッシュでした。この試合のピボーテの役割としてはカサドがアンカーで、ベルナルがIH寄りのタスク分担となっていました。これは逆なこともあるのでどう使い分けているのかは定かではありませんが、この試合ではベルナルを前目に位置に置いていたことが功を奏しましたね。
バルサは最後の交代枠でフェルミンを下げてトミー・マルケスをデビューさせ、フレンキーを90分温存する余裕も見せます。マルケスはカンテラーノらしくスムーズなパス回しに違和感なく参加している一方で、緊張もあったのか終盤に危ないミスもありました。もう少し長い時間見てみたいですね。
試合はこのまま3-0で終了。バルサがホームで快勝し、今節も首位をキープしました。
雑感
前半は相手の方がチャンスが多く、またしても楽に勝てたとは言えないゲーム展開でしたが、最終的には3発、クリーンシートで快勝となりました。過密日程でなかなかコンディションが整わない状況の中で、前半の出力を下げて後半で勝負するというのはフリックが望むところではないにせよ、仕方けない部分もあるのだと思います。
フリックバルサはどちらかと言うと圧倒的なボール保持でゲームを支配するというアプローチよりも、リスクを顧みない姿勢でスコアを動かすことでゲームをコントロールする傾向が強いです。なので、早い時間帯にある程度点が取れないと不穏な空気になるのはあると思います。相手にもチャンスが相応に訪れるゲームモデルではあるので。
最後にバルサがリーグ戦で4ゴール以上決めたのは12/7のベティス戦であり、それ以降の公式戦で前半で2点以上のリードを奪ったゲームは1つもありません。相手の対策もそれなりに進んでいる現状で、相手が元気なうちに複数得点を奪うことの難易度は上がっているようにも思えます。
ただ、このゲームはペトリ、フレンキー、ラフィーニャといったフリックバルサのキープレーヤーが不在だったわけですが、その中できっちりクリーンシートで勝ち点3を手にしたのは評価されるべきでしょう。代役として入ったカサドとラッシュフォードは足りない部分は見せつつもよく仕事を果たしたと思います。
特にラッシュフォードはチームへの戦術的な貢献度という意味で、加入以来ベストゲームだったと個人的には思います。元々の期待値としては、「ヤマルの不在時/機能不全時に大外のレーンからオプションになること」であり、このゲームではそれを全うしました。常時レギュラーとして運用するのは難しいという見立ては変わりませんが、途中出場や先発のオプションとして起用する前提であれば十分機能する戦力と言えるでしょう。
マジョルカはゲームプラン自体は見えましたし、ハマっていた部分もありましたが、先述したように最後のクオリティの部分と交代タイミングの運の悪さが勝敗を分けたように思います。アラサテとしても2失点目のタイミングには頭を抱えたでしょう。
ヴィルヒリは前半に素晴らしい活躍を見せましたが、まだ激しい上下動をこなすだけの体力が出来上がってないのか後半はトーンダウンし、60分過ぎの交代になりました。オトラ下位のチームでは今のままでも十分重要な戦力になりますが、その先をめざすのであればドリブル以外の武器が増えるといいですね。
このゲームで先発に抜擢されたパブロ・トーレは随所に上手さは見せつけたものの、試合展開に大きなインパクトを与えるところまでは至らず。もう少しボールを持てる展開でプレーさせたいところですが、もう少し非保持で計算できないとプリメーラのクラブで継続的な出場機会を得るのは難しいのかもしれません。
さて、バルセロナの方は中4日を挟んで国王杯準決勝1stレグを迎えます。対戦相手は2シーズン連続でアトレティコとなりました。2月はビッグマッチがなかったので、このゲームは歓迎したいですね。昨季同様、簡単なゲームにはならないかと思いますが、2シーズン連続の国王杯のタイトルに向けて、乗り換えて欲しいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。