Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】CL決勝トーナメント1回戦1stレグ マンチェスター・ユナイテッド対パリ・サンジェルマン

昨日のCLの注目試合、ユナイテッド対パリのマッチレビューをしていきたいと思います。

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ホームのユナイテッドはスールシャール体制お馴染みの4-3-3。3トップはスピードと若さ溢れる3人です。一方のPSGは4-2-3-1。ネイマールカバーニが負傷で欠場したため、ムバッペがCF、ドラクスラーがトップ下に入ります。

◎トゥヘルの修正力

 前半はかなり引き締まった試合になりました。両チーム合わせてシュート6本と堅い前半でした。ユナイテッドの中盤は逆三角形、パリの方は正三角形で中盤を組んできたためガッチリシステムはハマっている状態に。中でもエレーラとヴェラッティのマッチアップは見ごたえがありました。PSGのビルドアップの中心選手であるヴェラッティを徹底的にマークするスペイン人ファイターのエレーラ。序盤は特にヴェラッティを消すことでPSGのビルドアップを阻害することに成功しました。PSGはこの試合、サイドハーフにアウベス、ディ・マリアを起用してきました。右サイドに右利き、左サイドに左利き、所謂「利き足のウイング」というやつです。「利き足のウイング」になるとプレーエリアは当然中ではなく外が多くなってきます。エレーラやポグバが人に対して強くいくことでマティッチの脇は必然的に空いてきますね。しかしこの試合のPSGの両ウイングはタイプ的にもタスク的にも幅を取ることを求められました。そのため、序盤はマティッチ脇のハーフスペースをなかなか使えませんでした。両ウイングがサイドに張ってる分、そこにボールは入りやすいのですが、カバーニの欠場により大外からのクロスはあまり脅威になりませんでした。しかし、そこは戦術家トゥヘル。修正を施します。

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PSG攻撃時

またしてもピッチに4本線を引いておきました。4-2-3-1から、3-2-4-1への変更。恐らく前半の中盤あたりからこの形になっていたと思われます。ベルナトが左の高い位置を取り、左のハーフスペースにディ・マリアが入ります。一方の右サイドはケーラーが3バックの一角に入り、アウベスが幅を取ります。右のハーフスペースにはトップ下のドラクスラーが流れます。この変更によりたちまちPSGは主導権を握ります。ユナイテッドの中盤3人に対してPSGはハーフスペースの二人+ダブルボランチで4人。数的優位が形成されます。マティッチの両脇という構造的弱点を突いた素晴らしい采配です。さらに3バック+2ボランチによってカウンターケアにも余念がありません。次第にマティッチの脇のスペースを有効活用し始めます。すると後半7分、右のハーフスペースでドラクスラーがフリーでボールを受けると、右ワイドのアウベスに展開します。アウベスは精度の高いクロスを送ると、ムバッペがヘディングシュート!これはデヘアのセーブに阻まれますが、これで得たCKからキンペンペが決めてPSGが先制します。トゥヘルの修正が活きた先制点でした。

◎戦術的限界を露呈したユナイテッド

 さて、ホームで負けられないユナイテッドは慌ててプレスをかけます。かけますが、それに動じないPSGは面白いようにパスが回ります。ユナイテッドの中盤3人を完璧なパスワークで剥がしてしまうと、ディ・マリアのクロスからムバッペが押し込み、完璧な追加点が入ります。アウェイゴール2点がユナイテッドに重くのしかかります。スールシャールがシーズン途中からの就任というエクスキューズはあるとはいえ、ユナイテッドは戦術的な引き出しが少ないように感じました。序盤のほうはパリの中盤を制圧することで、押し込みました。攻撃では執拗にベルナトの裏を狙うなどチームとしての一貫性は示していましたが、押し込まれた時のプランBまではなかったようです。リーグ戦ではスールシャール就任以降負けなしと圧倒的な戦績を誇りますが、勢いで押し切れるほどPSGとトゥヘルは甘くなかった印象です。2失点を喫してからPSGがペースダウンしたことで攻めますが老獪な守備とムバッペのスピードに晒されてなかなか上手くいきません。さらに中心選手のポグバが2枚目のイエローカードで退場してしまうなど、非常に厳しい展開に。試合はこのまま0-2で終了し、PSGが大きなアウェイゴール2点を持ち帰る結果となりました。

 

【雑感】

いやー、PSGめちゃくちゃ強いです笑。ネイマールカバーニ不在でここまでやるとは・・。バルサで言ったらスアレスとメッシがいないようなものですよ。戦前の予想ではユナイテッドがリーグ戦好調ということもあり、ユナイテッド有利と見る向きもありましたが、パリが強さを見せつけましたね。選手層が厚い。特にネイマールの代わりに入ったドラクスラーは戦術的に非常に重要な役割を果たしました。トゥヘルはまだ1年目の監督ですが、チーム全体にしっかりと自分の戦術を落とし込んでいる印象です。先ほど、トゥヘルの「修正」と書きましたが、最初からプラン通りだったのではと思えるほどに完璧な試合運びでした。トゥヘルの指導力はもちろん特筆に値しますが、それを実行するだけの戦術理解度を備えた選手たち。見事です。ただ、唯一代えが効かないであろうヴェラッティの負傷交代は気になるところです。

 

ユナイテッドには厳しいレッスンになりました。チーム力の差が出てしましたね。恐らくスールシャールには前線3人とポグバには攻撃時ある程度の自由を与えているかと思いますが、それだけではパリの守備陣を崩すには至らずでした。先述した通り、ベルナトの裏をチームとして頻繁に狙っていましたが、もう少し攻めにバリエーションが欲しかったところ。マルシャルやサンチェスはかなり存在感が薄かったですね・・・笑。ポグバが2ndレグに出場できないのも痛いです。ただ、これはスールシャール体制初黒星です。彼の就任以降、ユナイテッドの選手たちは非常に生き生きとしています。この敗戦にめげずにこれからも攻撃的なスタイルを貫いていってほしいところです。

 

 

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