Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【考察】バルベルデはバルサに最適な監督ではない。それでも僕が支持する理由 後編

 お待たせしました。バルベルデの記事、後編です。前編をまだ読んでいない方は是非こちらも。

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そしてTwitterで意見を募集したところ、あん/CULÉ さんから素晴らしい見解が。

本当にそうですね。ビッククラブ初挑戦ということを考えると昨シーズンは非常に上手くいったと言えるのではないでしょうか。守備の安定は見逃せないポイントです。

これからも皆さんの意見やコメントお待ちしてますので是非是非お気軽にコメント欄やリプでお願いします!

 

それでは後編行ってみましょう。

 

臨機応変バルベルデ采配。

 4-4-2で一定の成果を収めたバルベルデは今シーズン、再び4-3-3に挑戦します。前編で述べた通り、シーズン当初は3トップ+コウチーニョの超攻撃的布陣で挑みます。しかしこちらの布陣は非常にバランスが悪く、機能しませんでした。コウチーニョバルサのインテリオールで機能しない理由はいくつかありますが、ここでは言及しません。後々記事にしようと思っているので。バルベルデコウチーニョが中盤で機能しないとみるやいなや、コウチーニョを左ウイングにポジション変更すると、ここまで慎重に起用していたアルトゥールやビダルを中盤で起用します。コウチーニョよりも中盤色の強い2人の併用で中盤はバランスを取り戻します。この結果コウチーニョは将来のバロンドール候補と称される天才、デンベレとのポジション争いを余儀なくされます。今シーズンは、メッシやコウチーニョスアレスの負傷離脱、デンベレの規律違反、ユムティティとラフィーニャのシーズン絶望級の負傷とイレギュラーはいくつもありました。しかしバルベルデは動じることなく、その状況に合わせて采配をふるいます。

 

◎象徴的だった対アトレティコ

 バルベルデという監督の特徴を如実に表す試合がリーガ第13節、アウェイでのアトレティコ・マドリード戦です。バルベルデはその采配でバルサファンを驚かせます。

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こちらがアトレティコ戦の先発でした。4-3-1-2。一時期、イタリアで流行ったシステムですね。そしてバルサではまず考えられないシステムです。なぜならバルサのサッカーの肝はウイングだからです。かつて故ヨハン・クライフはウイングがタッチライン目一杯に開いて、相手の守備陣を広げることの優位性を謳いました。そうすることによって技術に優れた中央の選手たちが時間とスペースを享受できるからです。バルサのサッカーの肝は「幅」なのです。しかしバルベルデが採用したこのフォーメーションにはウイングどころかサイドハーフすらいません。「幅」を放棄したとすら言えます。なぜバルベルデはこのようなフォーメーションを採用したのでしょう。答えは簡単です。アトレティコのカウンターを封じるためです。アトレティコは非常に守備的なチームです。つまり攻撃のメインウェポンは2トップのグリーズマンジエゴコスタを中心としたロングカウンターです。バルベルデこの最大の強みを消すためにアトレティコと同じ「幅」でプレーすることを選びました。アトレティコの土俵で戦ったとも表現できるかもしれませんね。運動量豊富なビダルをトップ下に置くことでネガトラが非常に機能しました。中央で密集を作ることによってアトレティコはカウンターがなかなか繋がらず苦しみました。この試合、ラキティッチコウチーニョが欠場しており、さらにアウェイということもあり最低でも勝ち点1を取ることをバルベルデは目標にしていたのでしょうか。実際の試合では、アトレティコの得点をセットプレーによる1点に留め、終了間際のデンベレの素晴らしいゴールで1-1の引き分けで勝ち点1を持ち帰りました。

 

バルベルデは時代に即した指揮官

 この采配が正しかったかどうかを判断するのは難しいですが、少なくとも多くのクレはこの決断に反感を覚えたのではないでしょうか。個人的にもあそこまで徹底してアトレティコの強みを潰してくるとは思っていなかったので、驚きを覚えました。バルサの哲学に反していると言われればそれまでです。しかし、今のバルサにかつてのペップバルサのような圧倒的な支配力は到底望めません。シャビ&イニエスタというサッカー史に残るバルササッカーの権化が去り、大エースメッシの存在感はもはやバルサの哲学以上のものです。また、現代サッカーの守備戦術の進化によりバルサの哲学を実践するのはますます難儀なものになっています。FCバルセロナというチームの哲学にバルベルデは確かに不適格です。しかし現状のバルセロナが必要としているのはまさにバルベルデのような監督なのです。彼は相手を分析することに長け、それに即して戦術を決定します。昨シーズン、僕たちは何度となく、バルベルデの後半の神がかり的な修正を見てきました。少なくとも現状のバルサが「普段着」で戦えるほど最早リーガは甘くありません。バルベルデという一流の「コーディネーター」の巧みな微調整によってここまで勝ちを積み重ねてきています。バルベルデが監督だからこのようなサッカーになっているのではなく、このようなサッカーをするしかないからバルベルデが適任である。僕はそう解釈しています。

 

◎完璧なチーム管理

 バルベルデが評価に値するのは何もピッチ上のことだけではありません。チームマネジメントの面でも彼は大きな貢献を果たしています。例えば、今シーズン新加入のアルトゥール。プレシーズンにメッシから「シャビのようだ」と賞賛を受けた彼ですが、その期待度とは裏腹にバルベルデはアルトゥールを慎重に起用します。最初は数分の途中出場、次は先発からの後半早い時間での途中交代といきなりフルで起用するのではなく、欧州初挑戦のアルトゥールに慣らしの時間を与えました。この結果、アルトゥールはのびのびとプレーし、今ではバルサのビルドアップの中心とまで称されるようになりました。さらに、シーズン序盤、規律違反を繰り返した遅刻魔デンベレに対してはあくまで内部のこととして、厳しい処罰を与えませんでした。このアプローチもデンベレには非常に効き、チームに謝罪してからのデンベレは吹っ切れたようにエネルギッシュなプレーを披露しています。まさにバルベルデの慎重なマネジメントの賜物でしょう。そしてバルベルデに対して中心選手からほとんど不満の声が挙がらないんですよね。結構ファンからは非難されることが多いバルベルデですが、チームから疑問の声が挙がることはほとんどありません。よくローテが下手とか交代が遅いと罵られますが、それもチームのベテラン選手に対して丁寧なアプローチをしている現れではないでしょうか。これによって若手の立場が苦しくなるのは看過できない問題ですが、メッシが中心に君臨している限り仕方のないことだと僕は考えています。

 

◎握手をしないバルベルデ

そしてもう一つ。ここからは僕の完全な推察になりますが、バルベルデって交代で退がった選手と握手をしないんですよね。これもバルベルデ流のチームマネジメントのやり方なのかなって思っていて。結構他チームとかだと「交代時の握手を拒否」みたいな感じで騒ぎになったりするじゃないですか。例えば数年前、Jリーグのあるチームのある選手が、交代時の監督に対するリアクションが問題視されて代表から外されたなんてこともありました…笑。プレーすることが仕事のプロサッカー選手にとって途中交代がどれほど残念なものなのか、僕にもなんとなく想像がつきます。そのような精神状態の選手に握手を求めてわざわざ火種を作る必要はない。バルベルデはそう考えているのではないでしょうか。まあこれは僕の完全な推察なので、こればっかりは本人に聞いてみないと分かりませんね笑。

 

バルベルデの3年目はあり得るのか?

 と、ここまでバルベルデについて評価してきましたが、如何でしょうか。先ほども申し上げたようにバルベルデという監督を一元的に見れば確かにバルサに最適な存在ではないと思います。しかし、メッシ主義的な今のバルセロナに必要な監督はバルサスタイルを突き詰められる指揮官ではなく、状況を的確に判断し、決断できる臨機応変な指揮官なのだと僕は考えています。今シーズンの結果次第ですが、フロントからも支持されていますからバルベルデは恐らく3年目のシーズンも指揮を取るのではないでしょうか。現状のバルサに彼ほど適当な人材はいないと思っています。むしろ彼が職務を全うした後、どのような監督に舵を任せるのか。ここでバルサの未来が決まるような気がしています。少なくともその時は今夏ではないでしょう。少しずつですが、アルトゥールの台頭を始め、バルサにも世代交代の風が吹きつつあります。大刷新はまだ早いのではないでしょうか。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。