今日は本題に入る前に一つだけ。フレンキ―の記事のコメント欄にこのようなお褒めの言葉が。
ツイッターや掲示板は口汚い罵詈雑言がほとんどなので 最近はこのブログだけ見るようになりました。 どの記事も丁寧で読みやすく面白いです。 今後も期待してます。
非常に有難いお言葉…。早速返信してみたもののちゃんと返信できているのかイマイチ自信がないので、こちらでもお礼を申し上げたいと思います。BONさん、ありがとうございます!そしてTwitterでいいね、リツイート、コメントしてくださる方々にも非常に感謝しております。いつもありがとうございます。これからも分かりやすい記事を心がけますので今後ともよろしくお願いします!
さて、今回はバルセロナの指揮官、エルネスト・バルベルデについて書いてみたいと思います。
◎1年半でタイトル3つ。今シーズンも首位
2017年夏、バルベルデは3年間監督を務めたルイス・エンリケの後任としてバルセロナの監督に就任しました。シーズン開幕直前にネイマールのPSG移籍が決定するなど、いきなり苦境を迎えますが、巧みなマネジメントでチームを導くとリーガと国王杯の2冠を達成します。CLではローマに大逆転負けを喫しましたが、シーズンを通して安定した戦いを披露しました。特にリーガでは敗戦はわずかに1つと安定感のある戦いぶり。さらに今シーズン最初の公式戦であったスペインスーパーカップも制し、3つ目のタイトルを獲得しました。今シーズンもリーガでは2位アトレティコと勝ち点差6をつけて首位、死の組と呼ばれたCLのグループステージは無敗で通過。国王杯でも準決勝まで勝ち進むなど全てのコンペティションで結果を残しています。
◎それでも一定数ある#ValverdeOutの声
しかし結果を残しているにも関わらず、未だにバルベルデ解任を叫ぶ声はあるようです。特に海外のファンのツイートに#ValverdeOutのハッシュタグをよく見ます。彼等の言説をまとめるとこのような感じでしょうか。
①昨シーズンのローマ戦、レバンテ戦の大敗
②サッカーがつまらない
③ローテーションが下手(カンテラーノを起用しない)
といったところでしょうか。①に関しては昨シーズンのバルベルデの評価に傷をつけた2試合です。ローマ戦ではファーストレグでのリードを活かせず大逆転での敗退を喫し、無配優勝のかかっていた37節のレバンテ戦ではまさかの大量失点で敗れました。結果という意味ではケチがつくのはこの2試合だけでしたが、インパクトはかなり大きかったです。②はバルサの監督としては致命的な部分です。勝利と理想をタイヤの両輪のように追及するのがバルサの信条です。否定派の方々からするとバルベルデはバルサスタイルを破壊する悪魔のように映っているのかもしれません。ラストの③は肯定派も認めるところです笑。確かにバルベルデは交代が遅いうえに、固定メンバーで戦うことが多く、控えメンバー(特にカンテラーノ)の出場機会は少なくなってしまっています。
◎バルベルデの1年半を検証する
さて、タイトルにある通り、僕自身はバルベルデ肯定派です。ただ、ここで僕の意見を述べる前にまずはこの1年半のバルベルデの仕事を振り返ってみたいと思います。
・17-18シーズン
1年目です。先述した通り、開幕直前にネイマールの退団が決定してしまうという災難に見舞われるバルベルデ。後にネイマールの電撃退団について「想定外だった」と述べているように当初はMSNの運用を考えていたと思います(バルベルデがあのトリデンテをどう操縦したのかそれはそれで気になりますが)。当然4-3-3のシステムでシーズンはスタートしますが、ネイマールが去ったあとの左ウイングとして期待されていたデンベレは長期離脱、ミランでの活躍を経て復帰してきたデウロフェウは期待外れに終わるなど、ウイングの枚数が足りない状態に。ウイングがいないならばとバルベルデはバルサではほとんどお目にかかれない中盤フラットの4-4-2を採用します。この変更によりバルサは安定感を取り戻すと、リーグ戦と国王杯を安定した強さで優勝します。CLこそ逃しましたが、充実したシーズンだったのではないでしょうか。
・18-19シーズン
今シーズン、バルベルデはバルサ伝統の4-3-3を復活させます。結果は残しましたが、恐らくクラブ内外から前シーズンの4-4-2に対しての批判があったと思われます。2年目のデンベレやローマから強奪してきたマルコムとウイングの枚数が揃ったことも一因ではないでしょうか。昨シーズンの冬にクラブ市場最高移籍金で加入してきたコウチーニョはシーズン当初インテリオールで起用されます。3トップ+コウチーニョという非常に攻撃的な布陣です。しかしこれがあまり上手くいきません。そこでまたしてもバルベルデによる修正が入ります。コウチーニョの中盤起用に早々と見切りをつけ、シーズン序盤は慎重に起用していたアルトゥールやビダルを徐々に重用します。2節から13節の12試合連続で失点していたバルセロナですが、その後の9試合中6試合でクリーンシートを達成するなど明らかに改善傾向にあります。
◎バルベルデ流の4-4-2
さてここからは僕の主観込々でバルベルデバルサについて詳細な分析をしていきます。
こちらが17-18シーズンのバルセロナの基本布陣です。バルサがメッシを右サイドで起用する際、守備時に4-3-3から4-4-2へ移行するのはこちらのブログで再三お伝えしてきました。つまり最初から4-4-2にしておくことで、トランジションの際にバランスが崩れにくいという守備面で明確な利点があります。ブスケツとラキティッチが中盤センターでコンビを組むことで、中盤の守備強度は格段にアップしました。エンリケバルサの4-4-2ではブスケツとイニエスタのコンビだったわけですから雲泥の差ですね。さらにメッシを右サイドから中央に移行させることで守備に歪が生まれにくくなりました。メッシを右サイドに置いておけば、メッシが守備しない分右ウイングの守備負担分をチームが担保する必要があります。メッシはどこに置いても大して守備はしませんが、2トップの一角と右ウイングでは守備負担が全然違います。2トップの下にはじめから中盤を4人並べることで4-4のブロックを作りやすい環境になりました。そしてこのシーズン、非常に光ったのはジョルディ・アルバの圧倒的な攻撃力です。ネイマールとの不和が囁かれたようにエンリケバルサにおいてアルバは自分の持ち味を出せずに苦しんでいました。理由は単純。ネイマールとアルバは使いたいスペースが被っていたからです。得意の攻撃参加をネイマールによって阻まれていたようなものだったので本人もストレスが溜まっていたはずです。しかし、ネイマールの退団と4-4-2の採用により左サイドでコンビを組むのはイニエスタに変更になります。大外のレーンを使いたいアルバとハーフスペースを使いたいイニエスタのコンビはガッチリハマり、アルバの攻撃力は大いに引き出されることになりました。よくメッシとアルバのコンビがフォーカスされますが、アルバに上手くスペースを作るイニエスタの貢献も見逃せないものでした。
バルセロナにおいて4-4-2の採用は非常に勇気のある決断だったと思います。それでもチームの現状を鑑みた上で、最善の策だったと僕は考えています。前線の破壊力こそ低下したもののチームのバランスは非常に向上しました。一人一人の負担は格段に減り、イニエスタやブスケツの存在感は増しました。バルサで4-4-2は個人的に見たいものではありませんが、それでもバルベルデのこの決断は尊重したいところです。
はい、ここまでいかがだったでしょうか。思いのほか書いていると長くなってしまいそうなので、続きは明日以降アップしようと思います。後編では今シーズンのバルベルデのサッカーについて、チームマネジメントについて、さらに彼の去就についても言及する予定ですのでお楽しみに!
最後までお読みいただきありがとうございます。
(追記)後編はこちら↓