Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】世界最強3トップMSNはお好きですか?ネイマール復帰の是非

こんにちは。今回はネイマールバルサ復帰についての記事を書いてみます。

13-14シーズンから16-17シーズンまでの4年間、ネイマールバルセロナに在籍しました。その間彼が残した成績は、非常に素晴らしいものでした。14-15シーズンからメッシ、スアレスとMSNと呼ばれた南米3トップを形成し、ゴールとアシストを量産しました。誰もが彼がメッシ後のバルサを引っ張る存在であると信じていました。しかし、2017年の夏、ネイマールは突然PSGへの移籍を決めます。移籍の理由については後述しますが、ネイマールは一瞬にしてバルサの未来を担うクラックから金に目が眩んだ裏切り者としてバルセロナのファンから厳しく糾弾される存在となりました。しかし3トップMSNが3年間で残したインパクトは非常に大きく、現地ではネイマールの復帰を望むファンもいるとのことですし、再獲得報道も度々取り上げられます。

ネイマールの復帰はバルサにとって果たして正しい道なのでしょうか。僕の答えはNOです。ネイマールが個人的に嫌いというわけではありません。しかし僕はルイス・エンリケが監督を務め、MSNが躍動したあの3年間。素晴らしい個人技に酔いしれる一方で常に疑問を抱いてきました。バルサらしさが徐々に薄れつつあるという不安感とジレンマを抱えながら3年間応援していました。

先に断っておきたいのは、僕のこの記事はネイマール復帰派の方々の意見を否定するためのものではありません。あくまで1ファンの意見として軽い気持ちで楽しく読んでいただければ幸いです。それでも「否定派の意見なんか聞きたくねえ!」と思われる方はここでそっと記事を閉じて、ガチャさんの記事を読んでください笑。僕とは意見が違いますが良記事です。今回僕がこの記事を書こうと思ったきっかけでもあります。

それでは始めて行きましょう。

 

■MSN、圧倒的な攻撃力

言うまでもなく、MSNは無敵の攻撃力を誇りました。スター選手が3人並ぶともあって当初は共存が懸念されましたが、高い協調性と南米出身者という共通点もあって瞬く間に呼吸を合わせたトリデンテは面白いようにゴールを重ねます。比較するのは常に難しい作業ですが史上最高の3トップとの意見も頷けるほどの破壊力でした。15-16シーズンではメッシ26G16A、スアレス40G16A、ネイマール24G12Aで三人がそれぞれリーグ戦20G10A以上を達成するなど圧倒的な数字も残しました。彼らに引っ張られたエンリケバルサは3年間でリーガ2回、CL1回、国王杯3回と文句なしの成果をあげます。

 

■歪んだチームバランス

しかし、これだけの攻撃力がノーリスクで手に入るはずもありません。バルサはMSNという強烈な武器を有す代わりに、中盤を犠牲にしました。まさにここが僕がMSNに対してジレンマを抱いた最も大きな要因でした。具体的にバルサに何が起こっていたのでしょうか。

こちらがエンリケ時代のバルセロナの主なスターティングイレブンです。

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僕が考えるエンリケバルサの問題点は以下の3つになります。

ラキティッチありきの右サイドの守備

②脆弱な中盤センター

ネイマールの守備タスク

主に守備に関わるところですね。

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それぞれ見ていきましょう。

ラキティッチありきの右サイドの守備

スアレスが加入した14年以降チームの大エースメッシは主戦場をそれまでの偽9番のポジションから右ウイングに移します。しかし右ウイングに留まっている時間帯は非常に短く、頻繁に中央に入り込みゲームを司ります。つまり多くの時間バルサの右サイドは人がいないという状況に陥ることになります(攻撃ではアウベスやセルジ・ロベルトが幅を確保)。おまけにメッシは守備を免除されているため、相手の左サイドの攻撃に対して数が足りません。そこで輝いたのが2014年の夏にセビージャから加入したイバン・ラキティッチです。この男、ただのイケメンテクニシャンかと思いきや、半端じゃない戦術的インテリジェンスとフィジカルの持ち主でした。瞬く間にバルサスタイルに馴染むと右インサイドハーフの位置で真ん中を埋めつつ相手のSBもケアするという非常に難度の高いタスクを任されます。二人分の守備を上手くこなさなければならないので、走力だけでなくポジショニングセンスや的確な判断力が求められます。彼は現在の監督バルベルデにも重宝されており、「ブラック企業従業員」と揶揄されるほど起用されていますが、彼のようなMFは世界に多くはいません。このタスクをこなせるのは当時のバルセロナでは彼のみだったので依存度はかなりのものだったと思います。ちなみに今シーズンもメッシは右ウイングを担当していますが、バルベルデビダルラキティッチタスクを任せ、ラキティッチを中盤センターに配置することで守備強度を高めていますね。

②脆弱な中盤センター

さて、ラキティッチが右サイドをケアするタスクを担うとなるとバルサの守備時のシステム上図のようになります。メッシとスアレスが攻め残り、ラキティッチが右サイドハーフにズれて、ブスケツイニエスタが中盤センターを担当し、ネイマールが左サイドハーフに落ちた4-4-2のブロックを形成します。ネイマールの守備については後述しますが、ここで問題にしたいのはブスケツイニエスタの中盤センターです。世界最高峰のアンカーと世界最高の攻撃的MFのコンビですが、彼ら二人には明快な弱点があります。機動力がないことです。ブスケツは、鈍足のシャビに「僕より遅い」と言われるレベルの鈍足であり、俊敏性もかなりの低さです。イニエスタは見るからに小柄で非力。そんな彼らが広大な中盤のスペースのカバーを余儀なくされたわけです。ボールを持たせれば右に出るもののいない二人ですが、オープンスペースでの守備は不得手。おまけにMSNの守備意識の低さによりファーストプレスが効かなくなり、ブスケツイニエスタの守備負荷はかなりのものでした。カンテとカゼミーロのコンビならバランスを保てるかもしれません。しかしそこはあくまでバルセロナブスケツイニエスタを外すことなど考えられません。シーズンが進むにつれて次第にチームはMSNの攻撃力を最大限に生かすために長い縦パスやロングカウンターを多用するようになります。パス距離が長ければ長いほど中盤のスプリント距離も長くなります。MSNの栄光の陰で近年のバルセロナの象徴とも言うべきブスケツイニエスタの二人が犠牲になっている。僕は彼ら二人の姿を見て大きなジレンマに襲われたのです。ちなみに余談ですがエンリケがあれだけアンドレ・ゴメスに執着したのもこの守備の問題の解決を図ったからだと僕は推察しています。

ネイマールの守備タスク

先ほど紹介したようにネイマールには守備時、左サイドのスペースを埋めるタスクが与えられました。実は彼がMSNの中で一番守備負担が重かったんですよ。僕Hikotaはこの守備タスクがネイマール退団の一因だったのでは?と思っています。単純に守備したくないのもそうですが、左サイドの深い位置まで下がってまた上がっていくのは非常に運動量が必要なタスクです。ネイマールのようなドリブラーにとって守備タスクが多いか少ないかというのは自分が得意とする攻撃にも関わる重大な問題なのです。ドリブルはかなり足に負担かかりますからね。3トップを残して中盤とDFラインで守ればいいじゃないかという意見もあるかもしれませんが、先述したとおりバルサの中盤には機動力がありません。3枚で中盤をカバーするのは残念ながら不可能なので、ネイマールの守備参加は不可欠だったのです。しかしネイマールの守備意識もせいぜい並以下だったため、案の定バルセロナは守備で苦しみます。頻繁にサイドで数的優位を作られ、綺麗に崩されるシーンも珍しいものではありませんでした。ちなみに個人的には今シーズン左サイドを務めることの多いコウチーニョデンベレの方が守備意識は高いと感じます。躍動するMSNと過労働を強いられる中盤以下の7人。いつしかバルサはMSNのためのチームとなっていました。

 

バルサは「MFのチーム」

西部謙司氏の言葉を借りるのであれば、エンリケバルサは「FWのチーム」でした。チームバランスはギリギリであり、中盤は犠牲になりました。それでもエンリケバルサが結果を残せたのはMSNの圧倒的な破壊力故でした。しかし、次第にチームが下降線を辿っていったのはやはりチームに負荷が掛かり過ぎていたのでしょう。バルサはあくまで中盤のチームです。中盤の選手たちが輝いてこそのバルセロナである。僕はそう思います。確かにMSNは夢を見せてくれました。でも僕がバルセロナに求めるのは圧倒的な個ではなく圧倒的な支配力です。グアルディオラ時代のバルセロナが21世紀の僕達に教えてくれたのはクライフの教えです。大事にされるべきは最強の3トップではなく最強の哲学なのです。

 

メッシが35歳、ネイマール30歳

メッシがいる以上、ネイマールが加入してもエンリケバルサと状況はあまり変わりません。ネイマールにはそれ相応の守備タスクが与えられますし、チームバランスは再び悪くなります。バルセロナが誇る史上最高のエース、リオネル・メッシは今年で32歳を迎えます。彼があと何年プレーできるのかは僕には見当もつきません。が、とりあえず35歳を目安に考えてみましょう。メッシが35歳になったとき、ネイマールは30歳を迎えます。メッシ引退後に再獲得は移籍金を考えると現実的ではないでしょう。幸いなことにネイマールが出ていったシーズンにアホみたいな移籍金で買ったウスマン・デンベレにブレイクの予感が漂い、今シーズンはシャビ二世とも称されるアルトゥールの躍動、カンテラ出身のアレニャの昇格、Bチームで圧倒的な存在感を見せつけるリキ・プッチ、さらには来シーズンにはオランダの未来を担うフレンキ―・デ・ヨングの獲得も決まっておりバルサは再び正しい道を歩きつつあります。ネイマールの再獲得に必然性はない。これが僕の主張です。

 

正直ネイマールの再獲得には賛否両論あって当然です。彼がいた4年間は復帰を熱望するには十分すぎるほどの時間でした。メッシ後一体どうするのか。ネイマール復帰派の気持ちも痛いほど分かります。もしこの記事を読んで何か意見があれば是非是非お寄せください。ブログのコメントでもTwitterのリプでも構いませんので、皆さまの意見お待ちしています。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。